日本維新の会の代表選(11月17日告示、12月1日投開票)への出馬を表明した吉村洋文共同代表(大阪府知事)が掲げたスローガンのひとつに「永田町文化を変える政党」がある。吉村氏は11月12日の記者会見で、他党の議員らとの会食は1人5000円を原則として、それを超える場合は参加者や目的をチェックしていく方針を示した。これをめぐって同党関係者の間では、論争が起きている。
吉村氏は記者会見で「飲み食い政治は壊していく」と強調した。これは党創設者で元大阪市長の橋下徹氏がSNS上などで、馬場伸幸代表や藤田文武幹事長らに対し「飲み食い政治」と痛烈に批判したことを意識したものだ。さっそく反応した橋下氏は、SNSで応戦。
〈国政維新馬場・藤田前執行部は政策活動費での政治家の飲み食いも永田町では必要不可欠と言い続けた。そして国政維新は無党派層に見捨てられた。新生維新は価値観を180度転換できるか〉
これに真っ向から異論を唱えたのが、維新の国会議員だった足立康史氏。Xでこう断言したのである。
〈絶対に出来ない。できる根拠がない〉
経産官僚出身の足立氏は2012年の維新結党に参加し、大阪9区で当選を重ね、2022年には党代表選に出馬したが、敗れた。6月に党批判を理由に6カ月の党員資格停止処分を受け、今回の衆院選前に引退に追い込まれている。
足立氏は次のように強調した。
〈大阪維新の地方議員が国会議員になっても、馬場さんと藤田さんと飲み歩いて媚を売るしか出来なかった。当たり前です。もともと皆んな自民党なんだから。その古い自民党文化に支えられて、維新は十四年(国政は十二年)永続して大阪で政治を続けることが出来た。橋下さんは分かってて気付かないフリをしてるが、吉村さんは、そもそも分かってない〉
当然のことながら、党内のことを熟知している足立氏の指摘には「もっともなところもある」と認める党関係者がいる。新生・維新は足立氏の批判にどう向き合っていくのか。
確実に言えるのは、野党幹部を懐柔する「国対政治」が得意な自民党・森山裕幹事長にとって、維新を取り込むハードルが上がった、ということである。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)