日本維新の会・橋下徹共同代表による「慰安婦」発言が波紋を呼んでいる。みんなの党・渡辺喜美代表は19日、維新との選挙協力関係を「完全に断ち切る」と宣言。自民党の暴走を止めるべく、タッグを組んだ両者が真っ向勝負する運びとなった。渦中の渡辺氏が本誌に語る真意とは──。
2年前の大阪ダブル選挙では、渡辺喜美代表(61)が橋下徹大阪市長(43)の応援に駆けつけるなど、両者は蜜月の関係だった。しかし、昨年末の衆院選の選挙協力失敗から溝が生まれ、参院選を目前に控えた5月19日には、ついに決裂宣言が飛び出した。ここに至る経緯を尋ねた。
去年の総選挙の時に石原(慎太郎・日本維新の会共同代表=80=)さんや橋下さんから合流しようとさんざん誘われたのです。その時に、「日本維新の会」が非常に右翼的体質ではないかと疑問を抱いたんですね。確かに、我々は憲法改正を主張していますけど、決して右翼的ではありません。
石原さんは人間的には好きな人ですし、昔から存じ上げていますが、思想的にはかなりの反米ナショナリズムで右寄りなんです。また、橋下さん自身はそうではないのかもしれませんが大阪維新の会の人たちの地方議員の中には、「日本会議」のメンバーがかなりいらっしゃるのです。「日本会議」とは安倍晋三総理(58)も名を連ねる、超党派の保守系団体である。歴史認識などで中国・韓国と対立的な立場を取ることで知られている。
30人近くいると聞きましたので、体質的に相当右寄りの人たちが多いのだと思います。ですから当然そこで当選してくる人たちも似たような主張・傾向を持っている可能性があります。
昨年の衆院選当時は確信とまではいきませんが、頭の片隅に若干、疑問を抱いていたのです。合流の持ちかけに「ちょっと難しいですね」と、私が逃げていた理由はそれです。
今年1月の「みんなの党」党大会では合流はしないでいこうと確認をしました。一方で、自民党を勝たせすぎるのはよくないことなので、政策協議をやったうえで選挙協力をやりましょうということは進めていたのです。
ところが、その後、「日本維新の会」が、例の綱領を発表しました。かなり極右的なレトリックのもので、私は思わずのけぞりましたね。「占領憲法が戦後日本をダメにした」というニュアンスの綱領で、こういう政党と一緒にやるのか‥‥ある意味ショックでした。
そういう思いを持っていた時に、出てきたのが橋下さんの発言なのです。
5月13日、橋下氏は「当時は日本だけじゃなく、いろんな軍で慰安婦制度を活用していた」と発言。米司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と進言したことも明かし、世界中で炎上している。渡辺氏は安倍内閣の路線変更を事例にして解説する。
安倍内閣は村山談話、河野談話の全面見直しと言ってスタートしたのですが、風向きがガラリと変わりました。アメリカが歴史修正主義について非常に敏感で、強い非難を浴びるようになったからです。そこで安倍総理は、路線を変えて、歴史修正主義は取らないという国会答弁を始めたわけです。