テリー 日本はいつの間にか貧乏になってますよね。
山本 それは、90年代からずっと増え続けている非正規労働にも原因があると思います。非正規労働って、不安定で給料も安い、いつでもクビを切れるから企業が使いやすい。こういう人たちが今、全体の4割ぐらいになっちゃってるんです。
テリー 非正規は昇給やボーナス、退職金もないから、将来が不安な人が多いですよね。
山本 そうですね。だからモノを買う余裕もないし、そうするとさらに社会にお金が回らなくなって、全体的に所得が落ちていく。誰かの消費って、誰かの所得ですからね。
テリー 国内でモノが売れないから、海外に出ていく企業も増える。
山本 経済産業省傘下のJETROという組織が「どうしてあなたたちは海外に出ていくんですか?」っていう調査をやってるんですね。それを見ると、「法人税が高いから」って答える企業は全体の4.4%。圧倒的に多いのは「需要を求めて」なんです。だから、この国が衰退した一番の理由は、やっぱり政治が経済を壊してしまったこと。一部の人たちの利益を優先した結果、大企業や資本家だけが肥大化した一方で、国内はどんどん荒廃してるんですよ。
テリー ただね、もう僕も高齢者じゃないですか。僕も老後は不安だし、例えば消費税が5%下がったとしてもその分はあまり使わなくて、貯金に回しちゃうような気がするんですよ。消費は上がりますか?
山本 例えば、コロナ禍で現金給付がありましたよね。その中で実際にすぐ使われたのは、多くても3割程度です。
テリー みんな、あんまり使わなかった。
山本 でも、それは時間と共に使われるようになっていくんです。一旦は使わずに置いておくけど、やっぱり必要に迫られて使うようになる。だから、そういうタイムラグはあるかもしれません。例えば、「消費税の減税は時限的です。ちょっと景気がよくなるまで下げますね」だったら、それがいつまで続くかわからないっていう不安が生まれるのは当然ですよね。だから、私たちは「景気がよくなるまで一時的に消費税を下げよう」ではなく、「廃止」か「最低でも5%に減税」なんです。
テリー 大企業が儲かってるって言いましたけど、どういう企業が儲かってるんですか。
山本 一番は重工業系でしょうね。なぜかと言えば、5年間で43兆円分の軍拡をするという法案が通ったんです。それに対して「財源はどうする?」なんて話はほとんど出てきません。自分たちの一番儲けさせたいところ、やりたいプランに関しては、掛け値なしにどんどんやっていく。一方でそうじゃないところにはお金を回さないんですね。
テリー 例えば?
山本 例えば少子化を是正するために昨年「子ども家庭庁」ができましたけど、これも色々と議論があって、毎年8兆円以上の予算がないと是正は難しいって言う専門家の方もいるんですね。ところがフタを開けてみたら、異次元の少子化対策というプランで、予算が28年度までの4年間で3.6兆円のみ。つまり、自分たちのやりたい優先順位があるということですね。それに対しては「財源」なんていう言葉もほとんど出てこない。
テリー うーん。
山本 こういう恣意的な部分にはもっと国民が怒らないとダメなんですね。
ゲスト:山本太郎(やまもと・たろう)1974年、兵庫県生まれ。1991年、高校1年生時に「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の「ダンス甲子園」に出演し、芸能界入り。2011年の東日本大震災の後に反原発活動を開始。2013年、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬し当選。以降、政党「生活の党と山本太郎となかまたち」などの共同代表を経て、2019年4月、「れいわ新選組」を旗揚げ、代表を務める。2021年、衆議院議員選挙に東京ブロックより出馬し当選。2022年、参議院議員選挙に出馬するため衆議院議員を辞職。同年、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬し当選。原発問題、被曝問題、TPP問題、労働問題、社会保障制度改革、人々のための経済政策、表現の自由に関わる問題等に特に深く関わり活動中。