関根勤と小堺一幾は「コサキン」として知られる名コンビだ。かつて「欽ちゃんのどこまでやるの!」では「クロ子とグレ子」として出演したが、「視聴率100%男」と呼ばれた大将こと萩本欽一は、理不尽な要求を繰り返したという。
YouTubeチャンネル〈関根勤チャンネル〉に登場した小堺は関根とともに、当時の秘話を繰り出した。
テレビ朝日の大道具(美術)チーフだったクサマさんは、ステージのささくれひとつにも「コラー! 演者さんがケガしたらどうするんだ!」と若手スタッフを一喝するような人物。だが、新人の関根と小堺には優しかった。
ある時、萩本がクサマさんに「掘りごたつ作って」と要求する。当時17、8歳だった見栄晴のために、掘りごたつに落ちて笑いを取ろうとの考えだった。クサマさんは徹夜で作ったが、完成した掘りごたつを見た萩本は、
「あれ、クサマちゃん、危ないよ、穴空いてて。見栄晴がケガしちゃうから塞いで」
クサマさんは何事もなかったように応じ、穴を塞いだ。
またある時には、セットの設定が古すぎると、萩本が不機嫌に言い放つ。クサマさんは頭を下げてその場をやりすごし、翌週に備えて新旧のバランスを整えた。これに萩本は言った。
「変えちゃダメだって。お客さん『あ、欽どこだ』って思うんだよ、パッと見て。ダメだよ。戻して」
そんなこんなが長らく続き、ある年の番組の忘年会のことだ。
「小堺ちゃん、俺偉いんだよ。今日は言わせてもらうよ。若手に示しがつかねーから」
酒を飲み、いつもの穏やかオーラは違う様子のクサマさん。お手製のメガホンのようなものを使って、
「大将~」
振り返った萩本は「何、クサマちゃん」と、あの満面の笑みだった。するとクサマさんは穏やかな人柄へと戻り、
「今後ともよろしくお願いします」
「欽どこ」の最盛期は平均視聴率30%台。1983年6月22日には42.0%の最高視聴率を記録している。萩本は他にも「欽ドン!良い子悪い子普通の子」(フジテレビ系)、「欽ちゃんの週刊欽曜日」(TBS系)といった人気番組を抱えており、
「休みもなく、ストレスを相当抱えていた」
と小堺がフォローしている。
(所ひで/ユーチューブライター)