「『ふてほど』って自分たちで言ったことは一度もないんですけど…」
阿部サダヲが困惑気味にこう語ったのも無理はない。
12月2日の「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」発表で、年間大賞に選出されたのが「ふてほど」だったからだ。これは今年1月から放送されたドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)のことであり、メディアが作った略称タイトル。授賞式に登壇した主演俳優の阿部が首をひねったのは、それが思ったほど世間に浸透していなかったせいもあろう。
事実、「ふてほどって何?」「初めて聞いた」という人は意外に多いのだ。それならトップ10に選ばれた「裏金問題」や、大谷翔平が達成した「50-50」の方が年間大賞にふさわしいのではないか、と。トレンドライターが言う。
「そもそも世帯平均視聴率10%未満のドラマタイトルの略称では、いくら『倍返し』(2013年)以来のテレビドラマ関連だと盛り上がっても、説得力はありません。これまでも、一般レベルではまるで浸透していなかった『村神様』や『アレ(A.R.E.)』を選んでしまっている。選考委員の見識とセンスというか…」
そんな「悪い流れ」を継承した形になった、今年の「ズレた年間大賞」。世間一般の認識と著しく異なる選択を続けるならば、早晩、賞の存在意義が問われることになるのではないか。
(高木莉子)