依然として警報レベルの流行が続いている「手足口病」。
この病気は、一般的には子供が罹患する病気で、大人には無関係というイメージを抱く人が多いかもしれないが、大人も感染するので油断は禁物だ。しかも、大人の方が重症化するケースがあるのでより注意が必要である。夏場の流行が多いが、最近では、秋から冬にかけても流行している。理由には諸説あるが、海外からウイルスが持ち込まれるケースもひとつの可能性として考えられているようだ。
名前の通り「手足口病」は、手のひらや足の裏、口の中の粘膜部分に発疹や水ぶくれを発症するウイルス性発疹症。初期は、口の中の痛みや食欲不振といった自覚症状が現れる。コクサッキーウイルスとエンテロウイルスが原因とされ、時には痛みや発熱を伴うケースもある。特に、大人の方が、より激しい痛みや高熱を発症するケースもあるため、十分な注意が必要だ。
ウイルス性の感染症のため、1回感染すると抗体ができ、理論的には感染はしない。しかし、前述のように原因となるウイルスに複数の種類があるため、子供の頃にかかっているから一生「手足口病」には感染しないなどと油断してはいけない。
「手足口病」には、特別な治療法はなく、基本的には解熱鎮痛剤、かゆみや炎症を抑える薬などを用いる。通常、1週間〜10日程度すれば、発疹や発熱が収まり自然治癒していく。しかし、まれに急性髄膜炎の合併症や、急性脳炎を発症する危険もある。
予防法は、手洗いやうがい、マスクの着用などが効果的だ。
子供の感染率が高い病気であるため、小さな乳幼児を持つ家庭や、孫と接する機会がある人は、日頃の対策を万全に心がけてほしい。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。