この年末年始は最大9連休となり、国内外から多くの観光客が各地を訪れた。と同時に観光地や宿泊施設ではオーバーツーリズムや迷惑行為が問題視され、深刻な人手不足も重なって、対応に追われることとなった。そこで関西のビジネスホテル従業員に、この期間中に発生した宿泊トラブルについて聞いてみた。
「数年前からインド系のお客さんが増えていますが、部屋で食べ物を勝手に調理することが問題になっています。特に困ったのは、部屋でカレーを作ったことですね。廊下中にスパイスのニオイが充満し、他のお客様からクレームが入って発覚しました。チェックアウト後に清掃に入ったところ、部屋中がスパイスの香りでとても使えない状態でした。オゾン発生器を使ってもなかなかニオイが取れず、結局3日間、徹底的に消臭作業をやるハメになりました」
年末年始の繁忙期に部屋が使用できなくなることは、宿泊施設にとって大きな損失となる。こうした迷惑行為は、文化の違いへの理解が求められる一方で、宿泊施設側の対応には限界がある。外国人のみならず、日本人宿泊客による迷惑行為も深刻化している。ビジネスホテルの30代女性従業員は、年末に発生したセクハラ行為への怒りをブチまけた。
「有料チャンネルが映らないという連絡があり、部屋に行きました。試しに操作すると、セクシービデオが大音量で流れ始めたんです。あえて女性従業員を狙ったイタズラだったのかもしれません。その後、こうした対応は男性従業員が行うことになりましたが、とても不快な気分になりましたね」
観光客の増加による経済活性化と、トラブルや迷惑行為は表裏一体。年末年始のような繁忙期には、それがとりわけ顕著になる。観光業界全体として、観光客への啓発や宿泊施設従業員の働きやすい環境づくりが急務といえよう。