年末年始9連休最後の夜、Xでトレンド入りしたワードを羅列すると、1位・大河べらぼう、2位・パイプカット炎上、3位・麻生太郎、4位・吉原炎上…なんとも艶めかしい年始である。
そして旧年中の「光る君へ」の平安絵巻の余韻に浸っていた大河ドラマ視聴者は、度肝を抜かれることに。江戸の町民1万4000人が焼け死んだ大火、吉原炎上に始まり、過酷な性接待で命を落とした女郎の死体の山、野外でチョメチョメ…NHKの大河ドラマと思えぬショッキングな映像が森下佳子氏の脚本と聞くと納得する。
森下ドラマといえば、綾瀬はるかが汚れ役になった「白夜行」、仲里依紗が激しい濡れ場を演じ、性暴力で梅毒を移された鈴木杏が病死する「大奥」、柴咲コウが最愛の人、高橋一生を磔にした上で刺殺する「おんな城主 直虎」…という救いのない愛憎劇と、この世の地獄をこれまで送り出してきた。
今年の「べらぼう」では前述の「大奥」でNHKが初めて導入した性行為シーンを演じる俳優をサポートする「インティマシー・コーディネーター」を大河ドラマで初めて起用。つまり「大奥」で倉科カナや仲が足を舐められ、胸をわしづかみにされたような過激シーンが今後、吉原の遊郭街を舞台にした今年の大河に登場すると予想されるのだ。反響は大きかったと、テレビ関係者が話す。
「べらぼうが1月5日のトレンドワード1位になったのは、性接待で命を落とす悲劇の女郎たちを、アダルト系女優の誰と誰が演じている…などとSNS上で解説する紳士が現れたから。女郎が人間ではなくモノとして使い捨てにされる悲壮なシーンでしたが、普段は大河ドラマを見ない男性視聴者層まで盛り上がった。小芝風花や森下作品の常連たる綾瀬も花魁姿で登場。『吉原炎上』と『花宵道中』で一糸まとわぬ姿を披露したかたせ梨乃、安達祐実らが女将役で登場するので、過去に吉原を舞台にした邦画も再び話題になりそうです」
森下ドラマの妖艶シーンは男性視聴者へのサービスカットではなく、女性視聴者も納得する伏線やストーリー進行に必要不可欠な要素として描かれることが多い。フェミニストや一部視聴者が早くも女郎のシーンに言及し始めたが、遊郭や春画を扱う本作はどこまで、この世の地獄と性愛を描けるだろうか。
(那須優子)