健康枕のCMが増えている。その中で今、廃品利用の手作り枕が注目されている。
筆者が最近泊まったホテルではフロントのそばに枕コーナーがあり、21種類の中から自分にあった好みの枕が選べるようになっていた。さらに自分にあった枕が選べる測定器も用意されていた。確かにホテルなどに泊まった際、枕が合わずよく眠れなかったという経験は多いので、なかなか気の利いたサービスだろう。
家庭でも良い睡眠が取れない理由に枕をあげる人は多い。そんな中、今YouTubeで廃品利用の手作り枕が人気を集めている。作り方はいたって簡単。新聞紙を丸めてかまぼこ型にしてテープで固定するだけ。高さも自由に調整できる。
〈何をやっても治らない飛蚊症が自作の枕で4日で9割がた消滅した〉〈肩凝りが消えた〉等々評判は上々なのだ。
ところが枕不要論を唱える人もいる。枕なしの方が身体と首筋が平行になって、頭や首にいく血液がスムーズになって、肩こりや首こりが解消されるというのだ。「しかし」と整体師の三上藤雄氏はこの意見に反論する。二足歩行を始めた人間に枕は必需品だと言う。
「人はいつも重い頭を支えているので頚椎骨がズレやすい。このズレで鼻、耳、歯、のどなどに異常が出やすい。枕は睡眠中にこの頚椎骨のズレを矯正する役目があるんです」
そして「枕を変えると健康になる!」(あさ出版)の著者である医学博士の山田朱織さんはこの著書の中で枕の大切さ、選び方をこう主張している。
〈朝、起きたときに枕がドーナツ型にへこんでいたとしたら、頭が枕にずっしりと沈み込んで、首が不自然に反り返っている証拠。柔らかすぎる枕は、実はもっとも首に負担をかける枕だといってもいい。枕がずれていたり、枕から頭が落っこちたりしていたら、さらに枕が不適合だということ。枕が少し高すぎても、少し低すぎても、首は不良な角度に折れ曲がり、寝ているときにも負担がかかってしまう。そればかりか首の角度は背骨にも影響する。枕を適切な高さに調節し、首がまっすぐに伸びた睡眠姿勢をつくることで気道を広げることができるので睡眠時無呼吸症候群の症状も軽減する〉
木や陶器の硬い枕がいい、低反発の枕がいい、そば殻の枕がいい、などなどいろいろな説や好みもあるが、この手作り枕は硬さも高さも自由自在だ。さっそく試してみたくなるスグレモノとみた。
(谷川渓)