1月18日から騎乗復帰したクリストフ・ルメールは1勝、3着4回、着外6回といまひとつだったが、終始笑顔を絶やさず、ハッピーだった様子。正月休み中に骨を固定していた9本のボルトとプレートを除去し、正常な体で騎乗できるようになった。
競馬ファンならご存じのように、ルメールは昨年3月のドバイ遠征で落馬し、鎖骨および肋骨を骨折してしまう。呼吸をするのも苦しい大ケガだった。それでも1カ月間後には、ボルトとプレートを付けた状態で騎乗を再開。勝利を重ねてリーディング・ジョッキーとなった。
ある意味、「鉄人」と言っていい。そんな彼だからこそ、競馬関係者からの信頼は厚い。今年も日本の競馬を引っ張っていくことは間違いないだろう。
今週のアメリカJCC(GⅡ、中山・芝2200メートル)では、お手馬のレーベンスティールに騎乗する。常々、GⅠを勝てるだけの力を持っていると惚れ込んでいる馬。前走・天皇賞(秋)は不利な大外枠と2コーナーでのアクシデントがあって8着と惨敗したが、得意の中山に替わって見直したい。
中山ではこれまで3勝、2着1回とパーフェクト連対。その中には今回と同じ舞台のセントライト記念、オールカマーでの勝利がある。AJCCで勝てば競馬界では珍しい「中山2200メートルGⅡの3冠制覇」となる。
持ち時計2分11秒1は出走馬中、トップ。3カ月ぶりの出走になるのでデキが問題だが、それも心配はいらないようだ。
1月23日の最終追いは、Wコースで3頭併せ。ウェットシーズン(4歳2勝クラス)、プリティディーヴァ(3歳オープン)を追いかける形でスタートし、3コーナー過ぎから加速する。直線は最内に入って、馬なりのまま併入した。時計は6F80秒6-1F11秒2と優秀で、文句なしの内容だ。巻き返し必至だろう。
他にも騎乗馬は11頭ある。そのうち土曜5R・新馬戦のブルーマエストロと日曜2R・3歳未勝利戦のマーキュリーダイムは初出走。この2頭を除いた9頭中7頭は前走3着以内に入った馬で、ここでも有力視されている。勝ち星を量産する絶好のチャンスとなる。
スロースターターだと言われるルメールだが、昨年は1月中に17勝の好スタートを切った。今年はスタートが遅かったこともあって昨年のようにはいかないが、ここで固め打ちしてリーディング上位に顔を見せるか。なにしろ固め打ちを得意とするだけに…。
(兜志郎/競馬ライター)