JRA馬主リーディングは1位サンデーレーシング、2位キャロットファーム、2位シルクレーシングと、ノーザンファーム系列のクラブが上位を独占している(12月8日現在)。その理由のひとつに、大レースで有力馬がかぶらないように使い分け、効率よく賞金を獲得していることが挙げられる。グループ内での「パイの取り合い」を避けて、上手にクラブ運営を行っているわけだ。
それだけでない。時にはひとつのクラブが有力馬を使い分けることもある。
例えば2歳の有力馬を数多く所有しているサンデーレーシングは、4頭の2歳馬を12月15日の朝日杯FS(GⅠ、京都・芝1600メートル)と12月28日のホープフルS(GⅠ、中山・芝2000メートル)に振り分けて使う予定だ。朝日杯FSにはアルレッキーノとミュージアムマイルを、ホープフルSにはクロワデュノールとマジックサンズを出走させる。GⅠレースの両取りを目論んでいるのだ。
しかしそれを実現するためには、まず朝日杯FSに勝つ必要がある。その可能性を見ていくことにしよう。
ミュージアムマイルはソコソコ人気を集めているだけあって力はあるが、不安材料もある。この馬は芝1600メートルの新馬からスタートしたが、後方から追い上げてきたものの、3着だった。以降、距離を延ばして未勝利、黄菊賞を連勝してきた。これらを見る限り、朝日杯FSよりもホープフルSの方がいいように思える。陣営は母ミュージアムヒルがマイルで3勝しているので大丈夫とみているが、時計勝負になった時にはどうだろう。持ち時計が平凡なだけに、心配だ。
1勝馬なので実績は見劣るが、まだアルレッキーノの方に魅力を感じる。前走は脚質転換を図るべく好位からの競馬をしたが、伸びを欠いて5着。それで評価が下がっているが、見限るのはまだ早い。
未勝利を逃げて圧勝したように、スピードは一級品。その時の勝利時計1分33秒3は、出走予定馬の中で3番目だ。半姉に牝馬2冠のチェルヴィニアがいるように、血統的な魅力も十分。騎乗するルメールは今回、思い切って逃げの手に出るだろう。狙うのならこちらだ。
競馬の有名な格言に「2頭出しは人気薄を狙え」がある。それにならって、アルレッキーノで勝負したい。それでも勝つ確率は50%ぐらいか。三振かホームランかのどちらかだろう。
(兜志郎/競馬ライター)