国民民主党が石破茂総理ら、自民党への不信感を強めている。昨年12月の自公両党との幹事長会談で、所得税の非課税枠「年収103万円の壁」に関し、2025年から引き上げることで合意。引き上げ幅については「178万円を目指す」と明記して協議継続を確認したにもかかわらず、一向に応じるそぶりを見せないどころか、石破総理らは日本維新の会への露骨な接近を示しているからだ。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は1月26日のNHK番組で、
「年収103万円の壁の見直しは、178万円を目指して引き上げる。与党がやる気か、国民は見ている。交渉次第で予算案への賛否は変わってくる」
そう言って自民党を牽制すると、さらに畳みかけた。
「178万円を目指して引き上げる、(ガソリン税に上乗せしている)暫定税率を廃止する。この2つが約束です。ところが(石破)総理の所信表明には『壁』の『か』の字もなければ『ガソリン』の『ガ』の字もない」
榛葉氏が苛立つのも無理はない。朝日新聞によると、石破総理は昨年12月、東京・赤坂の衆院議員宿舎で日本維新の会の前原誠司共同代表と会った。議員宿舎というのがいかにも石破総理らしいが、維新が目指す「教育無償化」に関連して「学校給食の無償化は地産地消でやればいいですね」と応じたという。
自民党閣僚経験者がホンネを語る。
「高校無償化だと6000億円で済む。『壁』の178万円だと7兆円かかるので、維新の案の方が安上がりだ」
不倫騒動後も役職停止中ながらテレビ出演する国民民主党・玉木雄一郎代表に、石破総理は不快感を示しているという。はたして維新へのすり寄りがうまくいくか。あるいは二兎を追う者は一兎も得ず…という結果になるか。
(政治ジャーナリスト/田中紘二)