満を持しての石破派旗揚げ─。この動きに絶妙のタイミングで呼応してみせたのが、党青年局長として周囲に飛ぶ鳥を落とす勢いを見せつけている小泉進次郎氏(31)だった。
1月30日、進次郎氏は党本部で新執行部発足後初となる青年局役員会を開き、夏の参院選へ向け、次のように結束を呼びかけた。
「国と地方の架け橋となるべく、若い力を国会で結集しなければならない。これが我が青年局の役割だ」
出席した役員は1年生議員を中心とする74名だったが、先の総選挙での大勝利を受け、青年局の役員数は従前の21名から82名へと膨れ上がっている。進次郎氏自身は「青年局は党の組織。派閥ではない」と強調しているが、党内には「進次郎氏は町村派をしのぐ最大派閥を手に入れた」と見る向きは少なくない。
進次郎氏の今回のパフォーマンスには、父・小泉純一郎元総理(71)の助言があったと言われている。自民党本部の幹部OBが明かす。
「派閥嫌いの小泉元総理は『永田町の変人』として道を切り開いていったが、反面で党内に仲間を持たないことによる四面楚歌も痛いほど味わった。息子にはそんな思いをさせたくない。そう考えた小泉氏は、進次郎氏に『総理・総裁を目指すなら、早い時期に仲間を増やすことだ』とアドバイスしていたんです」
いや、進次郎氏に熱い助言を送っているのは父親だけではない。くだんの石破氏も身内のような期待と信頼を寄せているのだ。石破氏側近筋が言う。
「石破氏には『今、党の体質を変えられなければ、今度こそ自民党はオシマイになる』との危機感がある。そのためには若い力の育成と糾合が不可欠。進次郎氏率いる青年局も、いずれは石破氏の連絡会と大同団結することになるでしょう。石破氏の意志は固いですよ」
石破氏は幹事長に就任してすぐ、119名の新人議員全員に対して、日々の政治活動に関する年間計画表の作成を指示。同時に、出席した会合の名称や回数、ビラの配布状況などを記した報告書の提出まで義務づけている。進次郎氏に近いベテラン議員も、次のように断言している。
「先の総裁選の際、進次郎氏は『安倍さんでは党は変わらない』との思いから、石破氏に渾身の1票を投じたんです。『安倍氏から麻生氏への流れは絶対に許さない』という決意も石破氏と一緒。進次郎氏を含めた青年局内では『派閥のおかげで総理になったくせに。安倍の派閥政治、お友達政治を潰そう!』とのシュプレヒコールが湧き起こっている。ズバリ、石破・進次郎連合の最終目標は『安倍の次は石破、石破の次は進次郎。これで新しい自民党を築く』ですよ」
石破・進次郎大連合による、反派閥ゲリラ戦の勃発である。