東南アジアのタイ国境付近では、行方不明や拉致に関連する事件が相次いで発生し、旅行者に不安が広がっている。
1月26日、タイ東部ウボンラーチャターニー県で、中国人7人が拉致されたことが発覚した。ラオスとの国境近くで拘束された22歳から25歳の中国は、リゾート施設に監禁されたとみられている。事件に関与したとして、タイ警察は警察官4人、軍巡察隊員1人、民間人3人の計8人を逮捕した。
1月初めには中国の俳優がタイで姿を消す事件が起きたが、3日後にミャンマーで発見され、無事に帰国した。また、昨年12月には中国のモデルがタイとミャンマーの国境地域で行方不明となったが、救出されて1月17日に帰国している。
こうした背景から、タイでは入国審査がいっそう厳格化されている。先日、タイからベトナムに旅行し、再びタイに戻ってきた日本人男性が、入国審査で厳しい対応をとられたと憤激証言する。
「タイには1カ月ほど滞在し、その後にベトナムへ移動して、再びタイに1カ月、滞在する予定でした。しかし入国審査で『タイで仕事をしているのではないか』と疑われ、別室で取り調べを受けました。パスポートや宿泊ホテルの予約表、帰国用の航空券を提示するよう求められ、『次回は3カ月以上空けてから来い』とまで言われました。滞在日数が法的に問題なく、違法行為もしていないのに、非常に厳しい態度でしたね」
観光客や短期滞在者にも、慎重な準備が求められる状況なのだ。訪問者は必要書類を十分に揃え、不測の事態に備える必要がある。