テリー いや、でもそれは演出家や脚本家の視点だから。小倉さんは演者だし、自分のことだけ考えてればいいんじゃないですか。
小倉 そうですかね。
テリー やっぱり小倉さんは三宅さんにないものを持ってるから。三宅さんも一緒にいることで何か化学反応が起きればいいと思ってるんじゃないですかね。
小倉 そう思ってくれてたらうれしいですけど。三宅さんは、「まず芝居の最初に何かお客さんがバンって笑うようなものが欲しい」っていう時に、「じゃあ、小倉を出しとくか」みたいなことは思うって言ってましたけどね。
テリー だから、三宅さんにとって小倉さんはすごく大事な武器なんですよ。
小倉 一度ね、三宅さんに言ったことがあるんですけど。僕、自分に褒められることはないんですけど、1つだけ偉かったのは、三宅裕司を見つけたことだと。初めて三宅さんを見た時に、すごくおもしろいなと思って、「この人についていけば何とかなるだろう」って、口では言いませんけど、そう感じたわけです。それで、三宅さんの言うことを「はい、はい」って聞きながら、ここまで来たんですけど。
テリー それを三宅さんに言ったの?
小倉 言いました。そしたら三宅さんが、「何言ってるんだよ。俺がお前を見つけたんだよ」って。ちょっと泣きました。三宅さんはもう忘れてるかもしれませんけど(笑)。
テリー だから、やっぱりお互いにいないと困る存在なんでしょうね。そういう話を聞いてから、今度の「タイトルマッチ3」を見ると、また違った楽しみ方ができるかもしれない。じゃあ、最後に改めて見どころを教えてください。
小倉 最初にも言いましたけど、今回は楽屋の様子まで全部見てもらおうという舞台なので。きちんと作ったコントの部分と、楽屋になった時のハプニングの笑い、そういういろいろな楽しみ方ができるのかなと思います。あとはゲストもすごいんですよ。浅野ゆう子さん、小林幸子さん、戸田恵子さん、声優の牧野由依さん、未唯mieさん、元宝塚トップスター水夏希さん‥‥。
テリー これはコントに出るってこと?
小倉 いや、コントは三宅さんと2人で、ゲストの方にはちょっとパフォーマンスをやってもらいます。
テリー まあ、そのあたりは実際に行ったお客さんのお楽しみですよね。全体の時間はどのぐらいになるんですか。
小倉 2時間ぐらいです。
テリー 2時間かぁ! トイレは大丈夫ですか? 70歳にもなるとトイレも近くなりますけど。
小倉 もうかなり近いですね。ちょっと心配してるんですけど。
テリー だったら、アレがいいですよ、紙オムツ。
小倉 ええっ、紙オムツ?着けて出るんですか? ちょっと、まだ舞台でその勇気はないなぁ。
テリー 実はね、僕たまに紙オムツするんですよ。例えば、夜寝る時に「今日体調悪いな」って思うことがあるでしょう。あと、僕、ロケが多いから。群馬まで車で2時間っていう時とかも紙オムツしてると安心なんですよ。紙オムツじゃなくて、「ペーパーブリーフ」って勝手に呼んでるんですけど。ちょっとオシャレでしょう(笑)。
小倉 急に言われて、「やります」とは言えないですけど。
テリー ぜひ、今度の舞台でやってくださいよ。楽屋の時、「今日俺、実は紙オムツしてるんだ」って言ったら、同世代は喜びますよ。
小倉 確かに安心感はあるかもしれないですね。でも舞台のアドバイスで紙オムツって。まさか、こんな話になるとは思わなかったなぁ(笑)。
ゲスト:小倉久寛(おぐら・ひさひろ)1954年、三重県生まれ。1979年、「劇団スーパー・エキセントリック・シアター」の旗揚げメンバーに。80年代中盤からバラエティー番組を中心にテレビ出演が増え、1986年にはNHK「ヤングスタジオ101」の司会、「笑っていいとも!」(フジテレビ系)にレギュラー出演した。1989年、「夢見通りの人々」で映画初主演。その他の主な出演は、映画「空母いぶき」「Fukushima 50」、ドラマ「おかしな刑事シリーズ」(TBS系)、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」「功名が辻」「青天を衝け」、NHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」「らんまん」など。2月21日(金)〜3月2日(日)、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて「小倉久寛 生誕70年記念 コントライブ ザ・タイトルマッチ3 お楽しみはこれからだ 〜You ain’t heard nothin’yet〜」公演。