「第二の藤浪騒動」勃発か。阪神・佐藤輝明の本塁打量産の予兆に、球団内部では痛し痒しの反応が出ているのだ。
打率こそ低いものの、4月15日のヤクルト戦(松山)前の12試合を消化した時点で4本塁打。巨人の岡本和真らを抑えて、この部門のトップに立っている。しかも球団通算8500号となった巨人戦(4月6日・東京ドーム)で初回に放った一打を含め、3本がレフト方向。すでに気の早い在阪メディアは、
「もともと、当たれば飛ぶ。このまま球に逆らわないバッティングを続け、反対方向の本塁打が増えるようなら、キングも夢ではない。なにしろ昨年は16本塁打中、左方向へは4本だけ。楽しみで仕方がない」
と盛り上がりをせている。
ここに水を差す事態が…いや、これが頭を悩ませる事態に発展しかねない、というのだ。在阪スポーツ紙遊軍記者の話を聞こう。
「ご存知の通り、佐藤は調子に乗りやすいタイプ。本塁打王になればどんなことを言い出すのか、分からない。仮にタイトルを逃したとしても、40本の大台を越せば、間違いなくメジャー挑戦の話を持ち出してくるでしょう。球団としては、わずか1年の活躍ぐらいでメジャー挑戦などとんでもないことですが、藤浪晋太郎のように、ゴネ得でポスティング移籍した悪例がありますからね。オフは揉めに揉めますよ」
球団が佐藤の要求を簡単に飲めない事情もある。球団OBが言うには、
「佐藤ひとりの問題ではない。佐藤以外にも才木浩人など、メジャー挑戦を目論む選手がチームには何人もいる。佐藤の希望を簡単に叶えれば、続々とメジャー挑戦に手を挙げるだろう。もちろん、全員の要求を受け入れることは無理。チームがガタガタになる。許可される選手はいいが、残留を余儀なくされた選手が不満を訴えることは想像できる」
今季創設90年の阪神は藤川球児監督の指揮のもと、ペナント奪回を目論んでいる。そのために佐藤の長打力は必要不可欠だが、同時に無理難題が持ち上がってきそうなのである。
(阿部勝彦)