これで3試合登板で、今季まだ勝利なし。4月15日の阪神戦(松山坊ちゃんスタジアム)で5回1/3を投げて5失点の、ヤクルト・奥川恭伸の初勝利はまたもやお預けとなった。5失点は、前回登板の中日戦から2戦連続だ。
今季は自身初となる開幕投手となり、6回7安打無失点の力投。高津臣吾監督の期待に見事に応え、「ついに完全復活か」と期待の声が広がった。まさかここまで状態が上がってこないとは、首脳陣も思ってもみなかったのではないか。
昨秋、松山坊っちゃんスタジアムで再スタートを切ったこともあり、縁起のいい球場で初勝利を目指した奥川だったが、今季初黒星がついたことで再燃しているのが「トミー・ジョン手術」だ。
奥川は2019年ドラフト1位で、ヤクルトに入団。「将来のエース候補」と期待されたが、2022年に右ヒジを痛め、トミー・ジョン手術が持ち上がった。ところが本人は「絶対にメスを入れたくない」とこれを断固拒否し、保存療法にこだわった。どれだけポテンシャルが高くても、高卒5年間で「30登板12勝」では「なぜ手術をしないのか」と指摘されて当然だろう。
ここで思い出されるのは二度、右ヒジにメスを入れた大谷翔平の言葉だ。
「思い切りパフォーマンスを出せる感覚がないとうまくもなれないし、自分が納得しない。ごまかしながら投げていたとしても、面白くない」
手術をしなくても150キロは投げられるという大谷の実力は別格とはいえ、その大谷をしてトミー・ジョン手術を決断させたのだから、今の奥川には耳が痛いのではないか。
昨年末の契約交渉では現状維持の2100万円で更改し、色紙に「邁進」の文字を記した奥川。今季このままの状態が続くようならば、いよいよ「戦力外」が現実味を帯びてくるかもしれない。
(ケン高田)