我が家には猫が3匹いる。ガトー、クールボーイ、そうせきだ。かつてはジュテという猫がいたが、2021年11月にガンで死んでしまった。
ジュテがガンとわかったのは、体重が一気に減ったことがきっかけだった。それまでたまに血液検査をやったことはあったが、元気だし、悪いところはないだろうと怠けてしまった。しかし、ガンと診断された時はすでに手遅れで、定期的に血液検査だけでもやっておくべきだったと思ったが、あとの祭りだった。
それからはチェックを疎かにしていたことを反省する意味で、とりわけ肥満体型のガトーは年に2回くらいは血液検査をしようと考えていた。ただ、これが億劫になる理由があった。
キャリーバッグに入れて病院に連れて行こうとすると、激しく抵抗するのだ。3匹のうちクールボーイは逃げ回るのでハナから諦めているが、ガトーと末弟そうせきはいつも体重測定を兼ねて、爪切りに連れて行くことにしている。だが嫌がって、バッグに押し込んでもなかなか入ってくれない。連れて行こうとするたび、大騒ぎになる。
ジュテはキャリーバッグに入れる時はお尻を軽く押すだけで、すんなり入ってくれた。当時はガトーもジュテに倣ってちょっと嫌がる程度だったのだが、一度、血液検査をやった時に嫌がり、怒ったことがあった。それ以降、バッグに入るのを猛烈に抵抗するようになった。そして、それを見ているそうせきが兄に便乗とばかりに、抵抗するのだ。そうせきは人見知りの性格だから、病院に行くのを避けたい、というのもあると思うが。
なので病院に連れて行く時は、前日から準備が始まる。チラリとでも病院に行く素振りを見せると、特にそうせきは脱兎のごとく走って隠れるので、気配すらさせてはいけない。
そこで、キャリーバッグをソッと持ち出せる、目につかないところに置いておく。当日はどこかひとつの部屋に閉じ込め、気づかれないようにドアを閉め、密室にする。そしてソレッというタイミングでシーツを顔からグルグルに被せ、お尻から押し込む捕獲作戦に移る。もし気づかれて逃げたら、どこに隠れたかわからなくなるから。
キャリーバッグに入れてからも大変だ。バタンバタンと大暴れし、バッグがひっくり返ることもある。ガトーが鳴くと、そうせきが便乗してギャーギャー鳴く。カエルの合唱ならぬ猫、の合唱。自転車の前後のカゴに乗せた2匹が大声で鳴くので、すれ違った人の多くが振り返るほどだ。
そんなわけで2月8日、かかりつけの動物病院に出かけた。今回は2匹の爪切り、体重測定、血液検査、ワクチン接種の4点セットである。
まずは体重から。ガトーは昨年8月26日に10.34キロだったのが、9月28日に10.26キロ、11月23日が10.10キロ、12月28日は10キロを切って9.98キロ(病院では10キロを切って「やった!」と声が上がった)、今回が9.86キロとまた少し減った。そうせきは6.4キロぐらいで推移している。
混合ワクチンは、外に出ないので野良猫とケンカして猫エイズなどにかかる可能性が低いため、5種ではなく、3種でいいとのこと。ガトーは2021年5月28日、2022年5月30日、2023年7月5日に接種している。前回から1年9カ月ぶり。そんなに間が空いちゃったのか。そうせきは2022年9月7日、前回が2023年10月14日だから、1年半ぶりである。
血液検査は、まだ3歳未満のそうせきは初めて。ガトーは2021年11月6日、2022年6月1日、2023年7月6日にやっている。血液検査も1年9カ月ぶりだった。
爪切り、体重測定は騒いで連れて行けなくても、また次でいいやと気楽だが、ワクチン接種や血液検査はタイミング、直前のごはんの制限もあるから気構えが必要で、連れて行くのが無意識のうちに負担になっていた。
猫は診察台に乗ると、途端に大人しくなる。それが不思議だ。ここは病院で、先生の言うことは聞かないといけないと察知するのだろうか。以前、診察台の上で怒ったことがあるガトーは、ワクチン接種も血液検査も、この日はいい子にしていたようだ。終わってからも鳴く声すらあげないほど、静かだった。
検査結果はその場で簡易的に教えてもらうこともできるが、院外できっちり調べてもらうことに。結果がわかるのは1週間後ぐらいだという。そうせきは問題ないだろうが、はたしてガトーは…。
(峯田淳/コラムニスト)