「ダマシの石破内閣」が、今度は高校生をダシに、公明党と日本維新の会と大増税を企てている。少数与党の自公政権は来年度予算案の修正をめぐり、日本維新の会とは「高校無償化」、国民民主党とは所得税の税控除額を引き上げる「178万円の壁」、立憲民主党とは「選択的夫婦別姓」を調整し、予算案を可決させるつもりだ。
ところが「高校無償化」なんて大ウソ。すでに導入している東京都では支援の対象は世帯年収910万円という所得制限が設けられ、さらに「最大45万円まで」という上限を設定している。
しかも都立高校の受験日は、今年度は2月21日と遅い。私立高校の入試日程の方が早く、都立高校が第一志望であっても、受験生の家庭は滑り止めの私学に入学金(10万円から30万円)を納入せねばならない。都立高校の授業料18万円を無償化されても、無償化分は私学の併願受験料、入学金の「捨て銭」へと消える。内実は小池都政による私学へのバラマキだ。
全国紙政治部デスクは、協議中の自民党と維新の会の「高校無償化」も、ドケチっぷりを発揮していると斬り捨てる。
「私立高校に通う世帯には、最大45万円の就学援助をする見込みです、自民と公明、国民の幹事長が合意した所得税控除178万円まで引き上げると税収が7.6兆円減るのに対し、少子化で300万人を割り込んだ高校生に3年間で最大130万円のバラマキで済むなら、来年度予算に1000億円から2000億円の予算を付け足すだけで済む。ところが石破茂総理は『高校無償化』『少子化対策』をダシに、子ども家庭庁の予算を7.3兆円まで引き上げて増税すると言い出しました」
自民と維新の「ドケチ無償化」が実現すると、公立高校に通う世帯への支援総額は、3年間でわずか54万円。一方、所得税控除額を178万円まで引き上げれば、未婚または既婚、子供の有無に関係なく、年金生活者世帯や年収200万円世帯で年間9万円、年収500万円世帯で年間13万円、年収800万円世帯で年間23万円の減税効果が見込め、その分、手取り収入が増える。
高校生がいる家庭でも「高校無償化」よりも、子ども家庭庁を解体して「178万円まで壁を引き上げた」方が得をする。米も野菜も肉も1.5倍ほどに価格高騰している今、全世帯の手取りを増やすことが「楽しい日本」の姿だと思うのだが。
(那須優子)