猫がワクチンを接種する場合、当日はごはんを抜いて連れてくるようにと、動物病院から言われる。今回の受診は朝10時半だった。我が家の3匹の猫は夜中の3時くらいから「腹減った」攻撃が始まる。食べさせないまま6時間も7時間も放置するのはかわいそうになるので、3時に少し食べさせ、お腹を空っぽにしてから連れていくことにしている。
それでも猫によっては接種後、時間が経ってから異常を訴えるケースがあるそうだ。今回は爪切り、体重測定、ワクチン接種、血液検査の4点セットをやってもらったが、その日は猫と一緒に過ごして、異変に気が付いたら連絡するように、病院からの指示があった。
しかし、連れ帰ったガトーとそうせきは元気いっぱいで、お腹がすいたのか、ごはんをガツガツ食べた。元気な猫たちだ。
1週間後、帰宅途中に病院から連絡があり、その足で病院に向かった。肥満体型のガトーの検査結果が、とにかく気になる。
先生が見せてくれた「健康診断報告書」には、こんな項目が並ぶ。乳び・溶血、総蛋白、アルブミン、A/G比…。要するに、人間の血液検査と同じような項目が並んでいるのだ。全てを書き連ねても意味がないので、人間でも要チェックと思われる項目を挙げると、総コレステロール、中性脂肪、GOT、GPT、γ-GTP、ナトリウム、カリウム、血糖、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、血小板、MCHC(平均赤血級血色素濃度)など。アルコールを飲まないのにγ-GTPがあるのが、どうしてなのかはわからない。
ガトーは3項目以外は、参考基準範囲に収まっていた。基準範囲に収まっていないひとつは血糖。下が71、上が148の基準値に対して178だった。印は▲。過去3回の検査では106、97、122だったから、ちょっとアップしている。
MCHCは何のことか不明だが、下が32、上が36の基準に対して30.9。過去3回は32.5、29、30.8だ。印は▼である。血小板は下30、上70に対して15.4。過去3回は16.6、18.3、20.3。印は▼だった。
いずれも異常値というほどでもないようだ。血糖がやや気になるが、「これくらいなら問題ありませんよ」と先生は言う。コメント欄に「※がついた場合は再検査済の項目」とあるが、該当するものはない。
今年9歳のガトーの体重は9.86キロもある。それでも健康体なのだろう。太っている人でも、検査したらなんともなかったということは多い。ガトーはまさにそれだ。
初めて血液検査をやった、そうせきはどうか。正常値ではないのが4項目と、ガトーよりも多い。GPTは下22、上84の基準値に対して108で▲、血糖は209でガトーより高い。印は当然、▲だった。MCHCは31.3で▼、血小板は11.8で▼。ガトー同様、問題がないということだった。
さて、治療費は3種ワクチン4000円×2、2匹分の採血料3000円、院外血液検査9000円と5000円、2匹分の再診料と爪切りで3500円。これに消費税が入って3万1350円ナリ。1年半以上も検査を怠けていたのだから、致し方なし。2匹とも何ごともなくてホッとした。
今回の検査で思い出したのが、本サイト記事で以前に取り上げた、神奈川県在住の飼い主さんの話だ。愛猫が食べては吐くようになったので病院に連れて行き、血液検査をやってもらった。ところが吐き止めの薬はあまり効かず、通院するたびに血液検査をやるという。「大丈夫かしら」と連絡があったので「それはおかしい」と言ったら病院を変えて、猫たちは元気になったそうだ。
ガトーもそうせきも、一度検査を受けるだけで、こちらは神経を使う。毎回毎回、血液検査をするなんて耐えられない。やたら検査したがる病院は人間の場合もそうだが、考えものだ。
(峯田淳/コラムニスト)