中居正広の女性トラブルを発端とした、フジテレビのスポンサー離れが長期化している。最近はどの番組のCMも、自社ドラマの宣伝映像かACジャパンばかりだが、視聴者は慣れてしまうもので、今ではすっかり気にならなくなっているのではなかろうか。
その一方、スポンサーに配慮しなくてもいいからなのか、最近は肝心の番組に大きな変化が見られるようになった。以前とは違う「攻めた」内容になっているのだ。
その代表的な番組が、2月24日の「国民が選ぶ!志村けんの爆笑ベストコント30」だったのではなかろうか。今年1月から1カ月間、特設ウェブサイトで志村けんのコントを選ぶ国民投票を実施。「ドリフ大爆笑」「志村けんのバカ殿様」「志村けんのだいじょうぶだぁ」に登場した志村の代表的コントの中から、ベスト30を決定した。
番組冒頭では前もって「志村さんの歴史の集大成を視聴者の皆様と振り返るという趣旨で制作しており、当時の映像をそのまま使用しております」との説明テロップが。「喫煙」や「ハリセン」など、令和の現在ではNGとされるシーンがそのまま放送された。
驚いたのは、これまで「お蔵入り」になっていた田代まさしとのコントだ。田代が薬物事件を起こしてからは、再放送時に当該シーンがカットされ、2人の絡みを見ることは事実上、不可能となっていた。そしてこれこそが「ケガの功名」であり、「スポンサーがつかないと面白くなるパターン」「スポンサー離れを逆手に取った攻めの戦略」だというのである。
「今こそスポンサーに忖度しない番組を作るべき」との声はあったが、それが志村のコント番組で実践されるとは、フジテレビも思い切ったというか…。
フジテレビでは、ほかにも同様の「攻め手」が登場している。早朝アニメ「ちいかわ」の酒好きキャラクター・栗まんじゅうが手にする酒をノンアルコール飲料やお茶に変更していたが、スポンサー撤退が始まってからは、缶ビールを解禁。おでん出汁の回では、ワンカップ酒が登場している。
これで余計にスポンサーが戻ってこなくなる…かどうかはわからないが、開き直りなのか、それともバラエティーのフジテレビ復活ののろしなのか。他番組にも「変化」が出るのか、気になるところだ。
(ケン高田)