本サイトが2月19日に公開した記事では〈前売り入場券が大量売れ残り!吉村府知事が慌てて「当日券」新設に動いた大阪万博の「ドロ沼状態」〉と題して、4月13日に開幕する「大阪・関西万博」の危機的状況をレポートした。
運営主体の日本国際博覧会協会は当初、前売り入場券の販売目標を1400万枚と見込んでいた。ところが、これまでに売り捌けた枚数が目標の半分程度に留まったことから、大阪府の吉村洋文知事と協会はついに「当日券」の新設に踏み切ったのである。
しかし、当日券の新設は「並ばない万博」の看板を反故にする「禁断の一手」。さらに言えば、予約なしで購入できる当日券を入手しても、予約で埋まっているパビリオンやイベントからは弾き出されてしまうのだ。
そこで吉村知事らは石破茂総理に泣きつき、もはや「なし崩し」としか言いようのない、新たな弥縫策の発動に打って出た。その第一は「通期パス」の割引である。
これまで「大人3万円」としてきた通期パスの値段を、4月と5月の来場に限定して2万4000円に引き下げ、「午前11時以降」としていた入場時間制限も撤廃。これにより、来場者が少ないとみられる会期前半での来場を促すとしている。
弥縫策の第二は「簡単来場予約チケット(仮称)」の新設だ。これは入場機能に特化した電子チケットで、手続きが煩雑だった「万博ID」を取得しなくても購入できる。ただし、観覧できるのは予約不要のパビリオンやイベントのみで、いわば当日券を電子チケット化しただけのシロモノにすぎない。在阪メディアの万博担当記者が厳しい口調で指摘する。
「なぜチケットが売れないのか。最大の原因は、万博そのものに魅力がないからです。『火星の石』だけで客は集められません。したがって、入場券を新設しようが、割引を打ち出そうが、状況が大きく好転することはないでしょう。まさに断末魔です」
開催までおよそ1カ月半。大阪・関西万博の迷走は、なおも続く。
(石森巌)