9月30日、ロシアのプーチン大統領はウクライナの東・南部4州(ルガンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン)をロシアに編入する「併合条約」に調印した。
調印後、モスクワ中心部にある赤の広場に数千人を集めて開かれた祝賀セレモニーで「勝利はわれわれのものになる!」とブチ上げて合併を宣言。だが、欧米の諜報当局に太いパイプを持つ国際軍事アナリストは、
「一方的とはいえ、曲がりなりにも4州の合併に漕ぎつけた今をもって、プーチン大統領自身は『戦争はもう終わりにしたい…』と考えているようだ。実際、『プーチンが周囲にそう漏らしている』との、欧米筋からの信頼に足る情報もある」
長引く戦闘、兵士不足による大混乱、そしてウクライナの激しい反撃で、ロシア軍は撤退を余儀なくされる事態にも陥った。国際軍事アナリストが続ける。
「これまでのウクライナ侵攻で、当初の予想をはるかに超える戦力と戦費を失ったことに加え、とりわけ召集令状による強制的な予備役動員で国民の大反発を招いたことが、プーチンを追い詰めた。事実、お手盛で有名なロシア国内の世論調査でさえ、この9月、プーチンに対する支持率は初めて8割を下回った。窮鼠プーチンは今、『このあたりで戦争を終わらせなければ、自分の失脚に繋がりかねない』と、秘かに恐れおののいている」
ところが、プーチン自身が戦争を終わりにしたくてもできない、のっぴきならない事情が横たわっているというのだ。国際軍事アナリストがさらに暴露する。
「ウクライナ軍が併合4州の奪還作戦に乗り出したこともあって、プーチン政権内の強硬派、とりわけ軍の強硬派はウクライナ全土の併合をはじめとする、さらなる戦線拡大を強く主張している。加えて、チェチェン共和国(ロシア連邦構成国)のカディロフ首長も、プーチンに低出力核兵器の使用を迫っている。これらの強硬派勢力は、一歩間違えば、政権を転覆させる勢力にも転じかねない。要するにプーチンは今、戦争を続けても失脚、終わらせても失脚という、振り上げた斧を降ろせない窮地に追い込まれた状況にあります」
断末魔に喘ぐ独裁者の、苦渋に満ちた表情が目に浮かぶようではないか。