週刊アサヒ芸能11月17日号で掲載した「大阪万博強行で『府民総ビンボー化』時代が到来する!」の記事が波紋を呼んでいる。
11月14日、松井一郎大阪市長(58)は、大阪府と市が誘致を進める統合型リゾート(IR)について言及した。
「(候補地の)地盤について必要な書類の提出を求められて協議している。国からも解決の手段や時期、対応策が求められている」
大阪維新の会が主導してきたIRは、大阪の夢洲地区を開発し、25年に開催される大阪万博の開催場所として利用。その後は、カジノを含む統合型リゾート地として運用する計画だ。ところが、区域整備計画の認定を大阪府と大阪市が今年4月に申請したところ、当初秋頃と見られた国からの認可が先送りになっているばかりか、国と大阪府・大阪市との関係がギクシャクしていることが明らかになったのだ。その最たる原因が「深刻な土壌汚染などの重要なデータを国交省に提出していない」という国側の不信感によるものだから穏やかではない。
在阪のメディア関係者が舞台裏をこう明かす。
「IR候補地である大阪・夢洲の土壌汚染問題をアサ芸が報道したことで松井市長が慌てて火消しに走ったのが真相のようです、それが14日の囲み取材での発言につながったと言われています」
アサ芸は、土壌汚染のみならず万博パビリオン建設費の上振れも断罪した。すると11月16日には吉村洋文大阪府知事(47)が、「コストカットをきっちりやっていくことも重要ですけども、未来への投資も大事」と述べつつも115億円に膨れ上がった「大阪ヘルスケアパビリオン」の建設費を99億円に減額すると突然の軌道修正をしたのだ。
「最初の金額は74億円。円安や資材の高騰もあって115億円に増額すると発表したのも最近のこと。それが舌の根も乾かぬうちに99億円に減額するという。メディアでも減額を信じておらず、そもそも大手ゼネコンとの契約にはスライド条項が盛り込まれる予定。つまり、資材などの費用が高騰しても追加の支払いが発生するという意味です」(前出・メディア関係者)
IR反対の急先鋒、自民党市議団の川嶋広稔幹事長(55)は土壌汚染問題を国交省に「今月末に申し立てる」と息巻いているという。
IRを進めてきた「大阪維新の会」にとって、“盟友”安倍晋三元総理も不在となった今、国側との調整も政治主導による解決も一筋縄ではいかないようだ。ばかりか、岸田内閣は支持率も30.5%の最低を更新するなどジリ貧状態が続くだけに、現内閣ではIRをまとめるだけの余力はないと言われている。
ましてや大阪では「維新」と「自民」は犬猿の間柄。松井市長のみならず、馬場伸幸代表(57)はもともと自民党青年局の若手ホープと期待されていた人物だけに、今でも両党の禍根が残ったままなのだ。
「汚染された土壌を完全に取り除くのは無理と見られ、他の万博会場と同じ工法で進められるようだ。地盤を圧縮して湧いてきた水分を除いた後にコンクリートを流して地盤を固める。仮にこの工法で工事を進めると万博以後、深刻な土壌汚染が検出されるかもしれない。そんな見方をする維新の議員もいる。それこそ、維新の屋台骨を左右しかねない問題に発展する可能性があります」(前出・メディア関係者)
まだまだ紆余曲折、予断を許さない状況だ。