「下へ~、下へ~、まるで大名行列だよ」
そう吐き捨てたのは、野球解説者の高木豊氏だった。いったい何の話かと思う人は多いだろうが、実はこれ、広島カープ若手選手の「バットの構え方」についての指摘なのだ。
自身のYouTubeチャンネルで広島のキャンプを総括した高木氏は、プロ5年目の二俣翔一を「ひと皮むけた。レギュラーかな」と大絶賛する一方、なかなか芽が出ない田村俊介や佐藤啓介らについては「なんとなくみんな、一緒なんだよね」とピシャリ。その理由はこうだ。
「大きく構えているんだよ。バットが出てくるのかな。多分、教えている人が一緒だと思うんだけど。能力が高いいい選手がいるのに、無駄を感じる。のっしり構えているんだよね。大名行列みたいな」
つまり若手のバットの構えがみな大きく、球に反応ができていないということらしいのだ。これは野球解説者の田尾安志氏も同様に感じていたようで、中村奨成の構えを「振りにいった時に、後ろで止まってしまう」と指摘していた。
実は両者が苦言を呈する以前から、朝山東洋1軍打撃コーチの指導には懐疑的な見方が多分にあった。生え抜きでコーチを固めるのはやめてほしいというものや、朝山コーチが引退後、20年もコーチを続けていることへの批判だ。
昨季の広島のチーム打撃成績を振り返れば、打率2割3分8厘、本塁打52で、いずれもセ・リーグ最下位。全てを朝山コーチのせいにするわけにはいかないが、かつて3連覇した時の若手選手の多くは鈴木誠也や内川聖一に弟子入りしており、コーチの指導能力を問う声は黙殺できない。
そもそも広島のコーチ人事は事実、生え抜き選手で固められることが多く、監督やオーナーと相性が悪いコーチは早々に解雇される傾向がある。長年、オリックスやソフトバンクのコーチを担い、2013年から2015年まで広島で1軍打撃コーチを任された新井宏昌氏は辞意を表明した際、次のように明かしている。
「昨年まで(の野村謙二郎監督の下で)は楽しくやることができた。今季は(後任の緒方孝市)監督から代打の相談もほぼなかった。若い選手には頑張ってほしい」
二俣ら伸びしろのある選手の活躍は楽しみではあるが、田村や佐藤、あるいは末包昇大らが台頭しなければ、昨年同様、またもやBクラスに沈む可能性はあろう。高木氏の鋭い直言にウンウンと頷いたカープファンは、今こそ声を上げてはどうか。
(ケン高田)