なんだか逆に心配になってきた。3月3日時点でのオープン戦の投打成績が発表された。これには阪神・藤川球児監督もビックリしたのではないだろうか。個人打撃成績で1位の佐藤輝明を筆頭に、ベスト10に阪神の選手が8人も入っていたのだ。
1位・佐藤=8割、2位・原口文仁=6割、3位・小幡竜平=5割、4位・高寺望夢=4割2分9厘、5位・豊田寛=4割、6位・前川右京=3割3分3厘、同・中野拓夢、島田海吏(他球団選手5人)…といった具合だ。チーム打率は3割9分5厘で、当然ながら12球団トップである。
なにしろオープン戦。それもまだ2試合だ。しかし、2試合でもこの打撃好調ぶりは、素直に認めるべきだろう。2試合で16得点を叩き出しているのだ。
それではと、投手陣に目を移せば、2試合で13失点を記録しており、チーム防御率は6.00になった。こちらは12球団ワーストだ。このままいけば、今年の阪神は「大量得点、大量失点」の大味な野球になるのだろう。
オープン戦序盤の数値だけを見て、今シーズン全体を予想することはできないが、気になる点がないわけではない。小幡の好調ぶりだ。
藤川監督は小幡を高く評価しており、キャンプ訪問した複数の阪神OB、プロ野球解説者がそれを聞かされている。「正遊撃手が木浪聖也から小幡に入れ替わるのではないか」と予想されているのだ。
木浪はまだオープン戦の規定打席数に到達していないが、4打数3安打で打率7割5分。こちらも打撃好調だ。
遊撃手をめぐる懸念材料は、キャンプ中に小幡と木浪がレギュラーを争う機会がなかったこと。競争が行われずにレギュラーが入れ替われば、指揮官の選択に疑問を呈する声は出てくるだろう。もしかすると、オープン戦の打撃成績がレギュラー交代の名目となるかもしれない。
「圧倒的な大差が付くのならともかく、僅差であれば、レギュラー交代の大義名分にはなりません。小幡、木浪の今後に注目です」(スポーツ紙デスク記者)
小幡、木浪のレギュラー争いが大っぴらになれば、阪神打線の爆発はこの先も続くだろう。ペナントレースでも打ちまくってくれたらいいのだが。
(飯山満/スポーツライター)