「水曜日のダウンタウン」(3月19日・TBS系)で取り上げられたある「説」が、波紋を広げている。それは「長渕剛ファンが2番目に好きなアーティスト予想がつかない説」だ。
長渕ファン125人にアンケートを取った結果、ベストテンには矢沢永吉、浜田省吾、尾崎豊といった「なるほど」と頷くような面々が並んだ。そして2位に入ったのは意外にも、あいみょんだった。
この結果に「なぜあの人物の名前がないのか」と視聴者がざわめきたったというのだが…。古参の音楽ライターが言う。
「桑田佳祐ですね。実は長渕と桑田は80年代から長きにわたる確執、平たく言えば長渕が桑田をずっと恨んでいたと言われており、そうした経緯が長渕ファンを桑田嫌いにさせたのでは」
両者はともに70年代から音楽活動を開始したが、青山学院大学の音楽サークルでサザンオースターズを結成し、1978年に「勝手にシンドバッド」で華々しくデビューした桑田に対し、地獄のようなドサ回りから始まった長渕の音楽生活は、なかなか日の目を見なかった。
1976年のヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)に「雨の嵐山」で入賞し、デビュー(当時の読み方は「ながぶちごう」)するもさっぱり売れず、1978年には「ながぶちつよし」として「巡恋歌」で「再デビュー」した。
苦労の連続だった長渕が数多くの音楽ファンに知られたのは、1980年のシングル「順子」が大ヒットした時からだ。
そんな長渕が桑田に呼ばれてナゴヤ球場で行ったコンサートで、サザンの前座のような扱いをされたことを恨みに思ったのでは…と囁かれるように。
そして2人の仲を完全に引き裂いたのが、桑田が1994年にリリースしたアルバム「孤独の太陽」に収められた「すべての歌に懺悔しな!!」という楽曲の歌詞だった。これが「長渕や矢沢を批判してるのでは」と指摘されると、桑田は会見を開いて「自分を含む芸能ロックシンガーを揶揄したもの」と制作意図を釈明。矢沢は桑田の謝罪を受け入れたが、長渕は拒否し、桑田を批判する発言が飛び出した。確執は続いたが、騒動は意外な形で収束に向かう。
騒動勃発からわずか3カ月足らずの1995年1月に、長渕が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたのだ。
「桑田の当該曲の歌詞『儲かる話とクスリにゃ目が無いバカヤロ様がいる』の通りになってしまったのは皮肉でした」(前出・音楽ライター)
長渕の古くからのファンは一連の騒動を今も覚えており、桑田を快く思っていないのかもしれない。
(石見剣)