この春、角界のプロスペクトが2人も入門した相撲部屋をご存知だろうか。
元大関・武双山が親方として運営する藤島部屋だ。拓殖大学から五島雅治、鹿児島の樟南高校から福崎真逢輝が入門した。五島は昨年の全日本選手権で3位、福崎が同大会でベスト8の成績を残して、幕下最下位格付け出しの資格を得てデビュー。ちなみに高卒で幕下デビューは、福崎が史上初の快挙だ。
この春場所9日目に、五島は十両復帰を目指す川副に敗れたものの、福崎はこの日の時点で勝ちっぱなし。いずれも力強い突き押しが持ち味で、関取になるのは時間の問題だと言われている。
同じ部屋に関取候補が同時入門した背景には、師匠の熱心なスカウト活動があった。角界関係者が言うには、
「藤島親方はアマチュア相撲の大会でよく目にします。子供たちの取組をちゃんと最後まで、真剣な面持ちで見学しているんです。実は子供たちの相撲をしっかり見ている親方は少数。例えば鳴門親方(元大関・琴欧洲)もよくアマの大会に顔を出していますが、取組をろくに見ず、学校や相撲クラブの関係者と雑談してばかりです」
藤島部屋ではスカウトした高校や大学の相撲部に所属する学生を、部屋の稽古に呼ぶことがしばしば。十両の藤青雲や、関取経験者の武将山らの胸を借りて、トレーニングを重ねる。そこで藤島部屋特有の居心地の良さを体感するようで、
「藤島親方は結婚していません。つまり、女将さんがいないのです。稽古から部屋のマネージメントに至るまで、親方衆が中心になって担っているといいます。それが若い衆たちに評判がいい。というのも、相撲部屋の中には、相撲の機微を理解できない女将さんが原因でトラブルが発生してしまうことが珍しくありません。相撲はおろか、四股を踏んだこともないのに『どうしてそんなこともできないの?』といった類の叱咤を飛ばすのは序の口。SNSに弟子たちを登場させて、自らの承認欲求を満たす女将さんもいます。いずれもよかれと思ってやっているだけに、タチが悪い」(前出・角界関係者)
もし藤島親方が結婚したら、部屋の空気はガラッと変わるのだろうか。