サッカー日本代表が史上最速で8大会連続のワールドカップ出場を決めた一方、同じグループCの「帰化軍団」が正念場を迎えている。
習近平国家主席の肝いりでサッカー大国を目指す中国代表は、本大会進出のために「帰化政策」を強化。3月12日には元Jリーガーでブラジル人のMFセルジーニョが中国国籍を取得し、大型補強に成功した。
それから約1週間後の3月20日、セルジーニョはサウジアラビア戦でベンチ入り。しかし、前半アディショナルタイムでFWリン・リャンミンが競り合いの時に「カンフーキック」を相手DFの顔面にお見舞いして、一発レッド。緊迫する試合をブチ壊した。
「数的不利という緊急事態に、チームに溶け込んでいないセルジーニョを出場させるわけにはいかず、代表デビューはおあずけ。試合は0対0で迎えた後半早々、サウジアラビアに1点を奪われ、0対1で敗北しました」(サッカーライター)
グループCは日本以外の5カ国が勝ち点6から10の大混戦(3月20日終了時点)だけに、今回、勝ち点を逃したことは中国にとって、かなりの痛手。勝ち点ではインドネシア、バーレーン、中国の3カ国が「6」で並んでいるものの、得失点差で中国がグループCの最下位。帰化政策を進める前に、中国人の「得意技」であるカンフーキックの封印を教えておくべきだった。
同じく「帰化政策」で悲願のW杯出場を狙うインドネシア代表も、悲惨な結果になっている。
好成績を残していた韓国人のシン・テヨン監督を1月に電撃解任し、オランダ代表で活躍したパトリック・クライファート氏が新監督に就任。初陣となった3月20日のオーストラリア戦は、立ち上がりにPKを獲得したものの、失敗した。これで一気に流れが変わると、1対5の大惨敗を喫したのである。
「インドネシア協会は『オランダ路線』を強行し、20人近くのオランダを中心に帰化した選手の中から代表メンバーを選び、大幅に戦力アップを図っています。それもあって、オランダ人のクライファート監督に託したのですが、そもそも監督としての実績がほとんどありません。3月25日のバーレーン戦で結果が出なければ、シン・テヨン前監督の待望論が噴出するでしょう」(前出・サッカーライター)
ただでさえ帰化選手を中心にしたチームは国内の反発が大きいだけに、W杯出場権を逃せば選手や監督、協会の責任問題に発展するのは必至。そうした意味でも、3月25日に行われるグループC4位同士の対決、インドネシアVSバーレーン戦は一大決戦となろう。
(海原牧人)