今季は中継ぎスタートが決まった、デトロイト・タイガースの前田健太。フロリダ州レイクランドで行われたブレーブスとのオープン戦(3月23日)に7回から登板し、1回を無安打無失点に抑えた。
まずは中継ぎとして無難な滑り出しともいえるが、そもそも先発にはかなりのこだわりを持っているだけに、その胸中は複雑だろう。前田はここまで日米通算165勝。200勝達成のためには、いよいよ日本球界復帰が現実的になってきた。
事実、前田もその思いは強いようで、3月22日に公開された元日本ハム・杉谷拳士のYouTube動画では「今シーズンは絶対やり返す」と意気込みを見せつつも「今はしっかり投げられるので、次は日本でやりたい。もう一回、投げたい」とキッパリ宣言しているのだ。
となれば前田が袖を通すのはやはり、赤いユニフォーム…かといえば、そうも言えない事情があった。
全盛期こそ過ぎているとはいえ、今もシーズン100投球回をこなす実力があるだけに、日本球界復帰となれば、複数の球団が手を挙げるのは間違いない。黒田博樹が古巣に復帰したように、そんな場面が再現されるかと思いきや、むしろ可能性は低いというのだ。
「オリオールズに移籍した菅野智之の穴埋めとして、巨人が虎視眈々と前田を狙っているからです。巨人が本気で金銭勝負に出れば、広島に勝ち目はない。坂本勇人、田中将大ら『1988年組』のいる巨人は、前田にとって居心地がいいでしょうね」(球界関係者)
前田はメジャー移籍した当初こそ、オフにはマツダスタジアムで自主練習を行っていたが、今では球団施設には寄り付かない。今年2月には自主トレ中に坂本や中日の大野雄大、高橋周平とゴルフを楽しむ姿をインスタグラムに投稿し、「今年も88年メンバー切磋琢磨して頑張りましょう」とエールを送るなど、すっかり古巣とは疎遠になっている。
杉谷の動画では、後輩の広島・森下暢仁、遠藤淳志らを前に「(日本に戻ったら)2人のライバルになる可能性がある?」と質問されて「そうだよ。絶対、勝つから」と言い切った前田。心はすでに「同級生」がいるチームに向いているのかもしれない。
(ケン高田)