やや苦戦しながらも、日本代表は史上最速で8大会連続のW杯本大会出場を決めた。
バーレーンをホームに迎えた決戦は予想通り、日本よりも早く国内キャンプを張り、早めに来日して準備してきたバーレーンが、最初から積極的にプレスをかけてきた。
前半9分にコーナ―キックから遠藤航(リバプール)がゴールを揺らしたが、VARで取り消される。日本にとっては嫌なスタートだった。その後もバーレーンの堅守を崩せず、後半に入ってもチャンスを作れないどころか、シュートも打てない時間が続いた。
ポイントは63分、南野拓実(FCモナコ)に代えて鎌田大地(クリスタルパレス9を投入したことにある。南野はセカンドストライカー・タイプ。鎌田は中盤でボールを繋ぐタイプ。鎌田が入ったことで日本の中盤にリズムが生まれ、バーレーンの守備は混乱する。
そして66分、先制ゴールが生まれた。伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)の縦パスを受けた上田綺世(フェイエノールト)が反転して前を向くと、走り出していた久保建英(レアル・ソシエダ)へパス。その久保の動きにクロスしながら中央に走り込んできた鎌田にパス。鎌田はボールを叩くようなシュートを決めた。流れるような見事な攻撃だった。
さらに87分、ショートコーナーから久保のスーパーゴールが決まり、試合を決めた。
試合内容は決して良くなかった。それでもキッチリと勝ち切ってしまう。強豪国の戦い方だった。日本が強豪国と対戦すると、前半を0-0で折り返しても、後半に入ると一瞬のスキを突き、点を重ねてくる。そんな強豪国の勝ち方を、日本がバーレーン戦で見せたということだ。
最終予選を振り返っても、結果だけを見れば快勝だが、90分間、相手を圧倒した試合はほとんどない。それでも結果的に点差が開いたのは、それだけ地力がついたということだろう。
その理由は、前回のアジア最終予選にあった。開幕から1勝2敗と最悪のスタートを切り、いきなり森保一監督解任の声が挙がるほど苦しんだ。あの厳しかった予選を経験した選手が現在も10人以上、代表に選ばれている。森保監督が続投したことで、最終予選の厳しさを肌で感じている選手、スタッフが多いことは大きい。監督の戦術、考え方を理解している選手は多く、選手とのコミュニケーションが取りやすい。
森保監督の選手選考、起用法には特徴がある。周りの声に左右されず、毎回ほとんど同じメンバーを選び、先発メンバーを変えなかった。同じメンバーで経験を積み上げながら、チームを作っていく。それを優先させた。
だからケガ人が出て数人メンバーが入れ替わっても、同じレベルのチームができていた。森保監督は最終予選の戦い方を、本大会出場が決まるまではメンバーをある程度固定して、チーム力を上げると決めていたのだろう。
それが快進撃に繋がった。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。