ロン毛をなびかせ、無敵状態。西武ライオンズの今井達也の4月の成績は自責点1と、別格のピッチングなのである。30イニングを投げて月間防御率が0.30。1961年6月間最小防御率の球団記録を持つ稲尾和久に並んだのである。スポーツライターは、私生活の充実が投球につながっていると話し、こう解説する。
「兵庫県出身で同じ年のインフルエンサー女性『ちぴ』と2023年に結婚してから、成績が急上昇しましたね。3年ほど前まで子供っぽさがありましたが、栄養面や精神面が安定して、落ち着いてきたと思います」
その甲斐あって、4月25日のオリックス戦では3回に麦谷祐介、宗佑磨、太田椋を3者連続三振に斬るなど、7回117球を投げて3安打無失点9奪三振。4月18日のソフトバンク戦は無安打で1点を失ったが、継投による世にも珍しい「ノーヒットワンラン」で白星を挙げた。今井のメカニックについて、パ・リーグ球団のスコアラーは、
「155キロほどのストレートがシュート回転してくるので、打ちづらいですよ。フォームが独特で、スリークォーターより低いリリースポイントなので、スライダーの変化が大きい。将来的にはポスティングで海を渡ることになるでしょう。メジャーリーグのスカウトが今井に熱視線を送っていますから」
投球スタイルはマリナーズ傘下3Aの藤浪晋太郎と似ているのだが、コントロールは今井の方がはるか上。
「2022年オフに自主トレーニングで九州の新トレーナーと出会い、うまくフォームが固まりました。そこから四球で崩れることが少なくなりましたね」(球団関係者)
2016年ドラフト1位右腕の覚醒が、昨年最下位からの巻き返しを後押しする。
(佐藤実)