鳩山由紀夫元総理(68)がまた悪目立ちしている。これまでは、よくも悪くも「宇宙人」の奇行とあきれられるだけだったが、今回はそうもいかないようだ。
問題の発端は、鳩山氏が政府の制止も聞かずに3月10日からクリミア半島を訪問したこと。昨年、ロシアがウクライナから一方的に併合した地で、鳩山氏はこう言い放った。
「(併合を決めた住民投票は)憲法の規定に従い、平和的かつ民主的プロセスにのっとって行われた」
これに対し、菅義偉官房長官は記者会見で、
「力による現状変更を肯定するような発言は、政府として絶対に看過できない」
と猛批判。自身が創設した古巣・民主党からも、
「一私人とはいえ元首相だから、あってはならないことだ」(岡田克也代表)
と総スカンの状況だ。かねてから鳩山氏の奇行を批判してきた「ヒゲの隊長」こと、自民党の佐藤正久参議院議員も今回ばかりは堪忍袋の緒が切れたようだ。取材にこう答えた。
「我が国、そして国際社会の立場とは、相いれない言動であることは言うまでもない。ここまで国益を損っている“迷い鳩”のパスポートこそ返納させるべき」
また、今回のクリミア訪問には民族派団体「一水会」代表の木村三浩氏が同行していたことが驚きを持って世間に受け止められた。そのことについて、民族派団体「同血社」会長の河原博史氏はこう嘆くのだ。
「木村氏は同じ反米という立場でロシアとつながっているとしたら大きな間違い。『敵の敵は味方』ではないはず。木村氏の真意がわからない。鳩山氏に関しては、過去の言動も含め、国賊としか言いようがない。そんな近年まれに見る“失敗作”の政治家と行動を共にするなんて‥‥」
では、ウクライナ人はどう思っているのか。来日5年目のウクライナ人男性に話を聞いたところ、
「鳩山氏は『自分の目で見たい』と言ったそうですが、本当にクリミアの現状を見たのでしょうか。私の親戚もクリミアでホテルを経営していましたが、ウクライナからの観光客がとだえ、ホテルを廃業しました。そうした困窮には目を向けない鳩山氏の行動は残念です。日本も北方領土を取られ、クリミアを取られたウクライナとは同様の立場なのに、ロシアをサポートするなんて信じられません」
すっかり四面楚歌の鳩山氏だが、最も激怒しているのはアメリカである。「鳩山由紀夫と鳩山家四代」の著書があるジャーナリストの森省歩氏が言う。
「今回、本当に問題なのはクリミアで『沖縄にこれ以上、米軍基地を造らせないよう協力してほしい』と言ったこと。これで完全にアメリカの虎の尾を踏んでしまった。これまでもCIAは要注意人物と見てきたが、この発言で反米工作を仕掛ける『ロシアのスパイ』という認識に変わったようです。すでに、国際的な謀略戦の渦中に鳩山氏は投げ込まれたのです」
それは鳩山氏の命の危機を意味する事態である。