目下、当の整骨院の院長は報道陣に対し、再三囲み取材のような形で、インタビューに答えている。また、すでに警察から任意の事情聴取も受けているという。
報道陣に対して院長は、
「(斎藤容疑者が)オウムの信者とは知らなかった」
と話し、偽名や6歳若く偽った生年月日などを申告し、整骨院を通じ保険証を作成したことについても、
「わざわざ偽名を使わせるようなことはまったくありません」
と説明しているが、首をひねりたくなる点もある。
例えば、両容疑者が住んでいたマンションは整骨院が一人暮らし用の寮として借り上げたものだというが、さる社会部記者は言う。
「院長によれば、住居も整骨院が用意するという条件で求人広告を出し、応募してきたのが斎藤容疑者で、約8万円のマンション家賃のうち整骨院が約3万円の家賃補助をしていたそうです。でも、それほど大きくない整骨院にしては補助の額が不自然な気がします。また、斎藤以外に同じマンションに住んでいる整骨院スタッフはいないようで、彼女への“特別待遇”の感は拭えませんね。
さらに、斎藤容疑者は連日2人分の弁当を買っていましたが、必ず整骨院宛ての領収証をもらっていた。院長が毎日1000円ずつお金を渡し経費扱いにしていたそうですが、マンション同様、従業員の昼食まで負担する整骨院というのはきわめて珍しい」
一方、最初は事務員として採用された斎藤容疑者だが、最近はマッサージも担当するようになっていた。しかし、副院長が一部取材に答えたところによれば、斎藤容疑者に専門的な資格を取るように勧めても取ろうとはしなかったという。厳密には、あんまマッサージ指圧師の有資格者でなければマッサージは行えないのだが‥‥。
いずれにせよ、斎藤容疑者は出頭時、800万円の現金を持っており、警視庁に任意提出している。この金には、整骨院からの給料のほか、平田容疑者が教団から受け取った逃亡資金も含まれると見られる。教団女性幹部から受け取った資金は1000万円だったが、その残りが800万円の中にどれほど含まれるのかも解明が待たれる。
整骨院に勤務していたのは約10年。給料は手取りで20万円足らずだったというが、家賃補助が出たのは、逃亡資金を貯えるには好都合だっただろう。前出・在阪ジャーナリストが言う。
「実は、マンションの近隣住民が斎藤が見知らぬ男と2人連れで歩いている姿を目撃しています。住民が斎藤に気づくと男が人目をはばかるようにその場を離れたというんです。斎藤容疑者は取り調べに対し『平田は一歩も外に出なかった』と供述している。とすれば、その男は誰だったのか」
捜査員も、この情報に関心を寄せる一方、斎藤容疑者が平田容疑者の生活費を得るために、「自分に好意を寄せる周囲の男性に資金援助をさせていた」という情報も別に入手しているといい、慎重に捜査を進めているという。
平田容疑者は、昨年3月の東日本大震災で「不条理なことを数多く見て」、同年11月末、斎藤容疑者に「自首する」と打ち明けたとされるが、
「この時思いとどまったのは、平田と別れたくない斎藤に翻意を迫られたからとも言われています」(オウム事件に詳しいジャーナリスト)
“援助交際”をしてまでも愛する男を養いたかったのだとしたら、なんとやりきれない逃避行だったのか。
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