女性芸能人が出演したい憧れの媒体であるファッション誌で、異変が起きている。この春、乃木坂46から専属モデルが大量に誕生するなど、アイドルのファッション誌進出が拡大しているのだ。
乃木坂46からは「CanCam」に橋本奈々未と松村沙友理、「CUTiE」に齋藤飛鳥、「non-no」に西野七瀬、「Ray」では℃-uteの鈴木愛理が専属モデルの仲間入りを果たした。ほかにもアイドリング!!!の大川藍は「JJ」、E-girlsの楓は「CanCam」、X21の末永真唯は「Seventeen」など、以前からの専属モデルも少なくない。
ひと昔前はいわゆるローティーン誌にアイドルが数多く出演していたが、最近の傾向は10代後半から20代をターゲットにした「女性ヤング誌」への出演が増えていることだ。女性ヤング誌はファッション誌のボリュームゾーンでもあり、いわばメインステージにアイドルが進出していることになる。この状況を女性誌のライターが解説する。
「最近の若い女性は、女性アイドルを同世代で等身大の存在だと受け止めています。AKB48やももクロでアイドルが身近になり、アイドルのライブに行くことにも抵抗感がなくなっています。そして乃木坂46には、白石麻衣ちゃんのように女の子も憧れるような可愛い子が多い。本当に可愛い子ならアイドルであっても受け入れられるんじゃないでしょうか」
一方で、アイドルの進出を「運営側のゴリ押し」などと批判する向きも多い。写真集の利権などと引き換えに、女性誌に押し込んでいるという考えだ。だが、大手出版社の編集者はそういった見方に異を唱える。
「大手出版社は雑誌のジャンルごとに部局が分かれています。しかも部局同士は仲が悪いことも多い(笑)。写真集をチラつかせると言っても、それで儲かるのは男性誌やコミック誌の部局のほうでしょう。そんな話に女性誌側がモデルの枠を割いて協力するなんて考えられないですね」
言われてみればたしかにそうだが、ではなぜ、女性誌がその貴重な枠を割いて、アイドルを登場させているのだろうか? その理由を前出の編集者はこう推測する。
「やはり、アイドルの人気に当て込んでいるんでしょうね。雑誌不況の中、女性誌の落ち込みは目も当てられないほど。なかでも芸能人の専属モデルが主力の“赤文字系”の女性誌はかなり厳しい状況です。そこに人気アイドルを起用すればマスコミにも取り上げられるし、ある程度の数字も期待できる。読者側もアイドルに対する抵抗が減っているので、人気者を起用したい女性誌側と、モデルを輩出したい事務所側の意向がマッチしたというわけです」
実際、専属モデルになっているのは大手事務所に所属するアイドルばかり。女性誌側としても付き合いやすい相手という理由もありそうだ。これが地下アイドルやローカルアイドルも女性誌に登場するようになったら初めて、アイドルがモデル分野で市民権を得たと言えるのかもしれない。