日米の期待を一身に背負うエース右腕が、「2年目のジンクス」にしては過酷すぎる「異変」に見舞われている。本来の剛球とは程遠いスタイルで打ち込まれる姿に、日米メディアの批判と不安の声が殺到。そして、そのヒジが抱える爆弾は間もなく「暴発リミット」を迎えようとしている、との激震証言まで飛び出したのである。
ヤンキース・田中将大投手(26)の2年目のシーズンが冴えない。いや、冴えないどころか、このままいけば右ヒジがパンクし、今季絶望に至る大ピンチに瀕しているという衝撃的な情報が水面下を駆け巡っている。
昨年7月に異常を訴えて一度は右ヒジ靭帯の部分断裂と診断され、腱を移植する「トミー・ジョン手術」寸前までいった不安がいまだ解消されていないのだ。
4月6日に本拠地ヤンキースタジアムで行われたブルージェイズ戦で栄誉ある開幕投手に選ばれたが、4回5失点で負け投手に。続く4月12日のレッドソックス戦も5回4失点と振るわない。序盤に大量10点の援護をもらってどうにか初勝利を手にしたが、昨年の好調ぶりは見る影もない。2試合を終えての防御率は7.00。辛口で知られる現地メディアのバッシングは収まらなかった。
「WHO IS THIS GUY?(この男は誰だ?)」という皮肉タップリの見出しで開幕戦を報道した「デイリー・ニューズ」紙は、2戦目についても「少しだけ前進したが、球威は上がらない。開幕戦よりタフさはあったが、去年の相手に脅威を与える投球からは程遠い」と分析。「ニューズ・デー」紙も「本当に田中は大丈夫なのか?」とタイトルを打ち、開幕戦に続いて右ヒジへの疑惑を投げかけた。
開幕戦の投球を見ると、フォーシームと呼ばれる直球の割合がわずか数球と少なく、しかもいい時は155キロ前後出る球速が最速150キロにとどまった。さらにツーシームを主体とした直球系の平均速度も、昨年に比べて低下。米メディアがこぞってヤ軍のエースを叩く理由はここにあった。
「我々は過去、トミー・ジョン手術に至る選手の過程をずっと見てきている。どの投手もまず球速が落ちる傾向がある。また、アナリストに聞いても、田中のフォームがヒジをかばっている投げ方だという。全ての条件が不安要素に重なるのです」(地元記者)
開幕戦でわずか6球だったフォーシームが第2戦では全97球中25球に増えたが、その平均速度は146キロともの足りない。ヒジに負担の少ないツーシーム中心の組み立てが通用しないとわかり、ヒジへの負担が増すフォーシームとスプリットの組み合わせに頼らざるをえなかった──。さすが徹底したデータ主義の米メディアらしい批判だ。
だが、2試合でマー君を袋叩きにしたバッシングは的を射ていた。米スポーツ医科学の権威である医師が田中の登板内容をチェックし、こんなショッキングなオフレコ発言をしたのだ。
「右ヒジをかばっている典型的なフォーム。思い切って腕を振ることを恐れている。このまま無理をして疲れがたまってヒジが下がるようになると注意信号だ。靭帯の部分断裂とは、伸びきった状態から小さな裂け目ができている状態。十分な回復期間を与えず無理をしていくと、その裂け目がチーズを裂くようにじわりじわりと広がっていく。いきなりプツンと切れることはないが、最悪、10試合から15試合をメドに投げられなくなり、田中の今シーズンは終わってしまうだろう」
10試合となると、開幕から約2カ月。5月末にもマー君のヒジがパンクしてしまうことになる。
サイヤング賞受賞投手であるペドロ・マルティネス氏が「このまま無理してやれば、今シーズン途中にヒジはさらに悪化する」と警鐘を鳴らしていたが、それを裏付けるような衝撃証言である。