今週は「オークス」が東京で行われる。注目は桜花賞馬レッツゴードンキの2冠達成なるか。しかし、その桜花賞で10着までに入った馬たちが全頭顔をそろえ、巻き返しを図る。はたして、2冠目を奪取するのは、どの馬か。
桜花賞はレッツゴードンキが意表をついて逃げ、そのまま圧勝してしまったが、800メートル距離が延びるオークスでは、どんなドラマが生まれるのだろう。
その桜花賞でレッツゴードンキが2着馬クルミナルにつけた差は4馬身。血統的に見てドンキに距離の不安があるとは思えず、ならこの4馬身の差は決定的ととる向きもある。
が、“絶対”と見るのは危険だろう。桜花賞は珍しくスローペースだったので、あれだけの差をつけられたとも言える。また距離が延びるうえに、舞台はごまかしの利かない、広くて直線の長い東京コース。当然マークは厳しくなる。
それに桜花賞前までは、今年の3歳牝馬はレベルが高く、よって混戦模様との下馬評だったことを思い出してみよう。それだけにライバルたちの巻き返し、台頭してきた新興勢力の食い込みがあることは、十分に考えられるだろう。
データも、それを物語っている。03年に馬単が導入されて以降、過去12年間で万馬券になったのは5回(馬連も同じ)。1番人気は3勝(2着2回)、2番人気は1勝(2着4回)。簡単に人気どおり決まっていないことがわかる。
また、ここ10年の勝ち馬11頭(10年は1着同着)を見てみると、ほとんどがサンデーサイレンス系とはいえ、同じ種牡馬の子がいないのだ。これはデータと言えないだろうが、こんな視点から探りを入れるのもおもしろかろう。
ただし、新興勢力よりは、クラシック戦線で厳しい競馬をしてきた桜花賞上位組に一日の長あり、と見るのが自然だ。穴党としても桜花賞に出走した中に“打倒ドンキ”が潜んでいると見た。
ズバリ狙いは、クイーンズリングだ。
前走の桜花賞の敗因は、2走目のポカ、反動と見ている。前々走のフィリーズレビューは、3走前の菜の花賞出走時に比べ、なんと体重20キロ減。それでいながら強烈な末脚で勝利をモノにして、土つかずの3連勝を飾ってしまったのだ。桜花賞はさらに2キロ減っての出走。パドックで、それまでとは違って少々テンションが高かったのは、そのためだろう。
でいながらレースでは、スローな流れにもかかわらず、引っ掛かることなく折り合っていた。結果は勝ち馬とコンマ8秒差の4着だったが、接戦となった2着争いには加わっている。体調が本当でなくとも、こうして見せ場を作るあたり、かなり高いポテンシャルの持ち主と言えるだろう。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。しっかりと乗り込んできている。
吉村調教師によると、
「体重が増えてきて、実にいい雰囲気。カイバ食いも旺盛で、桜花賞の時よりかなりいい状態」
だそうだ。1週前の追い切りはリズムに乗った走りで、しまいの伸びも鋭く、まずは文句なし。なら期待できるというものだ。
父がマンハッタンカフェで、母の父がアナバー(仏古馬王者)なら距離の問題はないが、近親にトレストレラ(GI仏1000ギニー=桜花賞に相当)、ゴールダミクス(GIサンクルー大賞典)など活躍馬が多くいる良血。均斉の取れたあか抜けた好馬体で、いかにも素質のよさを感じさせる馬。よほどの道悪にならないかぎり、頭から狙い撃ちといく。
逆転候補はココロノアイだ。これも桜花賞はスローに泣いたクチだが、相性のよい府中ならチャンスがあっていい。この中間は立ち直っており、好気配を誇っている。こちらはマックスビューティ(桜花賞、オークス)が曾祖母。走りっぷり、血統から道悪はドンとこいのクチ。好走必至だ。
◆アサヒ芸能5/19発売(5/28号)より