突如、浮上した橋下徹大阪市長と石原慎太郎都知事の連携構想。国会の早期解散をにらんだ「最強タッグ」の誕生に、永田町も戦々恐々だ。民主、自民に次ぐ「第三極」のキャスティングボートを握る2大首長にスリ寄っているのは誰か──。
橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」の動向に注目が集まっている。1月29日に記者団の質問に答え、
「維新の会で船中八策を作る。もう僕がアウトラインを作り始めている。国のシステムをどう変えていくのかを示す」
と、かつての坂本龍馬の国家構想にならい、国政進出の可能性に言及したのだ。政治部記者が明かす。
「くしくもこの直前には、石原慎太郎東京都知事が中心となった『石原新党が3月にも結成』とのスクープが報じられたことで、一気に“橋下維新”との連携が現実味を帯びてきました。実際、石原都知事は事あるごとに橋下市長の手腕を高く評価しており、石原新党結成にこぎつければ、両者は選挙協力などでお互いに結束すると見られています」
つまり、民主、自民に次ぐ「第三極」が今春にも誕生する気配なのだ。
それにしても、いつの間に橋下─石原の蜜月関係が醸成されていったのか。永田町関係者が解説する。
「一見、構図としては、石原が人気のある橋下にスリ寄っているように見えますが、実際はまったくの逆です。橋下サイドが石原の威光を利用しようとしているにすぎない。現在、橋下は4年以内に大阪都構想を実現するために奔走中。そこで、東京都の長である石原に行政の制度や仕組みや手続き面でのアドバイスをしてもらっている。また、永田町にも影響力のある石原の後ろ盾は国政に人脈のない橋下にとっては魅力的です」
さらに、両者の共通点として、有権者の圧倒的な支持がある。度重なる舌禍をモノともせず4選を果たした石原都知事の人気に便乗したいという思惑も見え隠れするという。
「実は、昨年の大阪W選挙でも票読みが難しく、平松陣営の組織票を崩せずにいた。ところが、選挙中盤から後半にかけて、橋下陣営は、東国原英夫前宮崎県知事など選挙応援に有名人を次々呼び寄せた。中でも最終日に石原慎太郎が選挙応援に駆けつけ、陣営のダメ押しになった経緯がある。まさに橋下にしてみれば、一石三鳥なんですよ」(前出・永田町関係者)
「維新の会」は、衆議院解散総選挙となれば、100人規模の立候補者を擁立する構え。一方の「石原新党」は、「国民新党」と「たちあがれ日本」を母体としていることから、当初は少人数で、最終的には70~80人の規模を目指すという。
政治ジャーナリストによれば、
「そもそも解散総選挙になったとしても現状では、『維新の会』が目標とする200人の議席を確保するのは難しい。そこで、石原新党との連携はもとより、他党との協力関係が欠かせない。しかも民主党を筆頭に既存政党離れは、このままでは、いっそう拍車がかかるでしょう。しかも選挙対策で橋下─石原の効果は絶大ですからね。まさに、『行列のできる第三極』になりかねませんよ」