「無理に他人とつながる必要はない」。そんな蛭子能収(67)の哲学が、多くの共感を呼んだ。今や人間関係に悩む中高年にとって、“憧れの存在”だとか‥‥。でも、近しい人々からは「本当に?」との声が上がっている。実は絆を無視した言動は、周囲をただ茫然とさせるだけなのであった。
先頃、新著「蛭子能収のゆるゆる人生相談」(光文社刊)が発売された。ところが、サイン会では人生相談そのものを否定。しまいには「こんなこと言ってないよ」と本の内容にケチをつける始末。期待に応えて奔放さを演じたのかと思いきや、担当編集者が困惑しながらこう話すのだ。
「内容は全部、先生の発言ですよ。何度も打ち合わせと取材を重ねて作ったのですから。ただ、完成した本をお持ちしたら『え? 本になるの?』って言われちゃいましたけど‥‥」
仕事の記憶は欠落するタイプのようで、それゆえ芸能界の恩人のことも忘れてしまう。漫画家からタレントとしてブレイクできたのは、大物芸能人の番組に出演したおかげ。その大物の代表格がビートたけし(68)とタモリ(69)だろう。
ところが、プロインタビュアーの吉田豪氏はイベントで共演した際に2人のことを蛭子に聞いたが‥‥。
「たけしさんとのエピソードは、あれだけ共演したのに自著に書いていた1点以外は何も思い出せない。タモリさんにいたっては、ディスり始めて、“『ヨルタモリ』はまぁまぁだよね。僕は前番組の『堂本兄弟』が好きだったんだ。あんなすばらしい番組を終わらせてまでやる番組ではないよね”と言いだしちゃったんです」
恩をアダで返すとは、まさにこのこと。そんなテキトー男にも真剣になる瞬間がある。ギャンブルだ。
その熱の入れようは、98年に麻雀賭博で逮捕されるほどで、「賭けない麻雀なんてあるのかねぇ」という格言を残している。
「ちなみに蛭子さんは、もう1回逮捕されています。海外ロケで、現地で出た弁当を『もったいないから』と、日本に持ち帰ろうとしました。当然、検疫に引っ掛かり、現地の裁判所に出頭したそうです。国外も含めれば“前科2犯”です」(前出・吉田氏)
当然、ギャンブルをするからには、一攫千金を夢みる。金がかかると、蛭子は目の色を変えてしまう。
「蛭子さんとは賞金が出るクイズ番組でも共演したことがありますが、ウケを狙ってボケると、『これは真面目にやらないとダメだよぉ! お金が入るんだから!』って。蛭子さんは“芸人殺し”ですよ(笑)」
こう話すのは、芸人の松村邦洋。蛭子が「芸能界で唯一の友達」と公言する相手だ。ところが、金で友を売ってしまったことも。
「僕のピンクなお店通いが週刊誌に載った時、蛭子さんがそのルポ漫画を書いていたんですよ。『小さい』とか『早い』とか。さすがに『身内に足を引っ張られている感じですよ。何でも仕事引き受けないでくださいよ!』と言ったら、『断らないよぉ! だってギャラくれるんだからさぁ』ですからね(笑)」