7月6日に放送されたトーク番組「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)で、選挙権の年齢引き下げに伴う少年法問題などを議論したビートたけしの発言に驚きと落胆の声が上がっている。
死刑執行の決断を下す職務を担っていた元法務大臣の鳩山邦夫らを交えて、日本の死刑制度をどう考えるかを議論したわけだが、日本では約85%が死刑に賛成していることを受けて、たけし自身は死刑廃止論者と前置きしながら、「(被害者と加害者で)2回殺人が行われるわけだよね」「もっと生きるための努力をさせるような方法を」などと持論を展開。さらに、生きていくことは大変なんだと教えるための例として「畑を耕したり野菜をとらせたり」と発言した。
世間に影響力のあるたけしの一連の発言に戸惑った視聴者も多く、ネット上では「この人でも身内が死なないとわからないんだな」「被害者と加害者を同じに考えるなんて酷い」「農業をすれば殺人が許されるなんて…」「死刑制度でギャグを言っちゃダメ」などと批判が集中した。
「これこそ表現の自由ですから、たけしさんが自己責任で言うのはかまいません。ただ、酒鬼薔薇こと元少年Aの『絶歌』出版の是非も問われている最中ですからね。彼が畑を耕せば許されるのかと、揚げ足を取られるような軽い発言はいかがなものかと思いました。世間やメディアの中には、リスペクトされる側のたけしさんの発言だから聞かなかったフリをしている人も多いようですが、これがアイドルや中堅文化人なら総攻撃をくらっていたと思いますね」(週刊誌記者)
中には番組を観たという40代のサラリーマンから、「レベルは違うかもしれないが」と前置きしたうえで、こんなコメントも飛び出した。
「小学3年のとき、公園に捨てられていた犬がかわいそうで『自分が絶対に面倒をみる』と母親を説得して、家に連れて帰りました。僕が初めて育てた命ですよね。可愛くてしかたなかったです。ところが2年後、外に繋いでいるときに近所の中学生2人組にバットで殴打されました。それが原因で数日後に死んでしまったんです。こんなに涙が出るのかと思うくらい泣きましたが、それ以上に怒りが湧き上がりました。交番にも行きましたが取り合ってくれませんでした。その中学生を殺したいと思いました。30年経った今でもそう思っています。あれ以来、生き物は飼えなくなりました。だから、もし自分の子供が殺されるようなことがあったらと考えると‥‥。たけしさんのことは嫌いではありませんが、あの意見には賛同できませんね」
少年法改正、死刑への賛否‥‥軽々しく語るにはあまりに重い究極の選択かもしれない。
(村岡タクミ)