〈ビートたけし オフィス北野から独立〉
先日、そんな見出しが、スポーツ新聞やネットニュース等に、かなり派手にあがりました。で、この一報を耳にした、わたくしの周りのたけしファンの反応がなかなか面白いものでした。
「えっ! 独立? だってオフィス北野ってたけしさんの個人事務所じゃないの? どういうこと?」と、まずは素朴な疑問を口にすると、もうそこから先は、たけしファンらしく、「これはあれ? KUWATA BANDから桑田佳祐が抜けるようなもん?」「いや、内山田洋とクールファイブから、内山田さんが抜けるみたいなもんだろ?」等々、独立の意味を勝手に解釈し、論議していました。
が、当事者の殿は、人気アナ・安住紳一郎さんと出演しているTBS系「ニュースキャスター」の中で、「オフィス北野って俺の事務所だよ。俺の事務所を俺が辞めて何が悪いんだよ。ヤドカリだって、貝捨てて次の貝にケツ入れるじゃねーか! あっ、うち来ない?」と、新事務所に安住さんを勧誘するというギャグをさっそくかまし、笑いをかっさらっていました。
ちなみに、この勧誘ギャグ、ナイナイの岡村さんにもやっていました。そんな“いたっていつもどおり”の殿は、「今回の独立がセミリタイア的な意味があるのでは?」といった質問に、「これまでどおりやるだけ。仕事は増えるわけでも減るわけでもない」と、きっぱりと言い放ったのです。
が、ついこの間、殿の今年いっぱいのスケジュールを拝見する機会があったのですが、通常のレギュラー以外に、某国民的大河ドラマの長期にわたる撮影、熊本での単独ライブツアー等々、〈いやいや、例年より忙しいのでは?〉と思える、ハードな1年なのでした。で、殿はどんなに多忙な時でも、自分のやりたいことはジャンジャン追加する方です。先日も、熊本ライブツアーの打ち合わせ中に、
「ライブはよ、ツアーはツアーでやって、今年中にまた中野サンプラザでやるか! それであれだ。中野サンプラザを毎年の恒例にしてよ、年4カ所くらいツアーをやればいいだろ」
と、まるで、70を過ぎた今でも世界ツアーをタフにこなす、ローリング・ストーンズのような目標をぶちあげたのです。そして、
「しかし相変わらず忙しいな。そうなるとヒロポンの出番だな」
と、自分に言い聞かせるように、大きな独り言を漏らしたのです。さらに、
「それはそうと、KGBで何か新しいことできねーか?」と、殿が2年前から始めた、月額540円のWEBマガジン「お笑いKGB」の企画案をいきなり要求し、
「もうよ、誰がどう見ても俺なんだけど、覆面でもかぶって、『芸能一筋30年』の事情通ってことにして、好き勝手言う動画でも流すか!」
と、まるでどこぞのYou Tuberのような“配信サービス”にまで、手を出そうとするのです。とにかく、独立した殿、ますますもって元気です。はい。
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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!