昨年末、「チョコレートの摂取は“血圧を下げる”効果がある」というニュースが日本中を駆け巡った。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールが、加齢や生活習慣で狭くなっている血管の内皮を改善したり、善玉コレステロールを増加させることで、「高血圧」や「動脈硬化」の予防に繋がる効果を生み出したという結果だった。
ポリフェノールといえば、赤ワインやお茶などに多く含まれていることで有名だが、チョコレートの原料であるカカオ豆にはなんと、赤ワインの約4.5倍、果物の中で最も多いといわれるリンゴの約4倍というポリフェノールが含まれているというのだから、このチョコレートの効果に注目が集まるのも納得だ。
この効果を裏付けた臨床実験は、愛知県内でも成人病の患者数が多いという蒲郡市、地元の愛知学院大学、菓子メーカーの株式会社明治が共同し、45歳~69歳の一般男女347人の参加により敢行された。カカオ含有量72%の“高カカオチョコレート”を4週間、毎日5粒ずつ(約25g)摂取した結果、高血圧と認定された人たちが、「140/90」以下という正常値に近い血圧へと改善するなど、冒頭の効果を実証するに至ったという。ちなみに、チョコレートの摂取で気になるのは、体重だ。高カカオチョコレートによる臨床実験では参加者の肥満度は実験前後で全く変化なし。そちらの心配が無用というのも実にうれしい結果となった。
さらに今回、愛知学院大学心身科学部健康栄養学科の大澤俊彦教授から「蒲郡スタディーズ」における画期的な最終結果が発表された。それは「チョコレートが認知症の予防に繋がる可能性がある」という驚きのひと言。これには、おもわずグッと身を乗り出した年配層も多いのではないだろうか。
「脳内で記憶や学習能力をつかさどる海馬という部分に、BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる脳の栄養分が多く含まれているのですが、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールの摂取により、血中のBDNFが上昇することがわかりました」(大澤教授)
近年、BDNFが認知症に関連があるという論文が数多く発表されており、高齢者と呼ばれる65歳を境にこのBDNFは減少するという。さらに、アルツハイマー型認知症やうつ病の人のBDNFの数値は通常よりも低いという事も報告されている。今すぐにでも摂取できる高カカオチョコレートでその減少を予防でき、さらに記憶力アップにも繋がる可能性があるとしたら、これはすごい発見だ。近い将来に470万人にまで膨れ上がるといわれている認知症患者の抑制に大いに手助けになるのでは、と大澤教授が熱く語るのもうなずける。
これらの研究結果を後押しするように、今回実証実験に参画した食品メーカーの明治は、豆の選定から製造まで一貫して行う「BEAN TO BAR」と呼ばれる方法で、健康を意識した機能性チョコレートを伸長させていきたいと語る。お菓子的な“甘さ”からシフトチェンジ、“こだわり層”のためのカラダが喜ぶチョコレートがこの夏以降は一気にトレンドとなりそうだ。健康診断で一喜一憂している中高年のお父さん、未来の自分のためにもぜひお試しあれ!