名だたる映画評論家やライターの間で、あまりにも評判がいいのが二階堂ふみ(20)の主演作「この国の空」だ。公開は8月7日だが、すでに試写の段階で「本年度ナンバーワンの女優賞モノ」との呼び声も高い。
映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、制作発表の段階でこんな期待を寄せた。
「数々の傑作を書いた脚本家の荒井晴彦氏が17年ぶりに監督をやり、主演が『私の男』(14年)でも義父との禁断の愛を熱演した二階堂。この組み合わせが期待されないはずはない」
荒井監督の前作「身も心も」(98年)は、かたせ梨乃や柄本明らの“中年の性”を生々しく描いて話題となった。そして本作は「戦時中の性」が大きなテーマとなっている。二階堂演じる里子は、妻子ある男(長谷川博己)に惹かれ、19歳の身を捧げる。初めて抱かれるシーンは、全身ではないものの、後ろからの一子纏わぬ姿も見せた渾身の演技で、映画のテーマを一点に集約させている。
撮影を巡っては、監督の「リアリティを出すために付け脇毛をしてほしい」との要望を断る一幕もあったが、それ以外は意図に沿った芝居を見せ、20歳と思えぬ天才ぶりを発揮。
「昨年の『私の男』では日本アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされましたが、今年は8月の時点で『最優秀主演女優賞は間違いなし』の評価です」(映画記者)
かつては「宮崎あおいにちょっと似ている子」という言われ方をされていたが、どうやら“本家”よりも先に栄冠を手にしそうだ。