「ど根性ガエル」(日本テレビ系)で主役のひろしの母親役を務めている薬師丸ひろ子。このドラマ、何かとひろし役の松山ケンイチやピョン吉の声を担当する満島ひかりにスポットが当たりがちだが、薬師丸のいかにも下町にいそうなオバチャン具合が光っている。
薬師丸は角川映画「野性の証明」のオーディションに選ばれ芸能界デビュー。角川映画はテレビとのメディアミックスで映画をヒットさせるという、現在のテレビ局制作映画の基礎とも呼べるモデルパターンを作り、70年代後半から80年代前半の映画界をけん引。薬師丸はその中心人物の一人だった。
「主演映画の主題歌を歌い、映画も歌もヒットさせるという当時主流だった歌手メインのアイドルではなく、“映画女優アイドル”という新たなポジションを築いたのが薬師丸です。その後も女優と歌手を続けていましたが、いまいちパッとしませんでした」(映画プロデューサー)
それが02年、クドカンこと宮藤官九郎脚本の「木更津キャッツアイ」(TBS系)で再び脚光を浴びることに。
「銀幕スターとして薬師丸を扱うスタッフが多かった中、クドカンは“学校にタヌキの置物の爆弾を仕掛けるような奇抜な役”をやらせ、結果的に薬師丸から絶大な信頼を受けるようになりました。今や下町のオバチャン役もコミカルに演じる薬師丸ですが、クドカンと出会っていなければ、こうはなっていなかったでしょうね」(映画関係者)
薬師丸はクドカンに足を向けて寝られないはずだ。