縮小路線に転じた五輪にあって、漫画家のやくみつる氏は意外なものを除外候補にあげた。
「競技を減らすという感覚が僕にはないんですよ。14日という大会期間も少ないと思っているくらいなんです。できれば、全部見たい。強いてあげるなら、商業主義のベースに乗った大きな国際大会が成立しているサッカーやゴルフを、あえてオリンピックでやる必要があるのか、議論すべきじゃないですか。演出を凝らした開会式なんかもこの際やめたらどうですかね。そんなことにお金をかけるくらいなら一つでも多くの競技を見たいな」
ポール・マッカートニーなど多くのスターが出演したロンドン五輪の開会式には、実に33億円もの巨額な費用がかけられていたのだ。競技の縮小と相反するように、その金は膨れ上がっている。4位には馬術、5位には近代五種競技が選ばれた。馬術では法華津〈ほけつ〉寛(71)が高齢でありながら出場して話題になったが、前出・織田氏はこう語る。
「あれは金持ちじゃないとできないスポーツ。ヨーロッパでも王室が勝って話題になりました。馬術は本来、体力があって経験も豊富な30~40代の選手が活躍できるスポーツです。失礼ながら年を取って出場できるというのはそれだけ競技人口が少ない証拠です。要するに、大衆とは無縁のスポーツです」
「除外せよ」とまでは至らなかったものの、“指摘”の多かったスポーツが卓球・バドミントンである。回答者の多くは、こんな理由を寄せてくれた。
「中国のメダル量産競技と化している。中国国内で代表からこぼれた選手が国籍を変えて出場していて、どの試合を観ても金太郎飴のように中国人が出てくる。もはや、国際競技としての意味を疑う」
ところで、実際に除外の憂き目にあった場合、競技はどうなるのか。前出・馳氏はこう危機感を募らせる。
「レスリングはロンドン五輪で得た金メダルのうち4つをもぎ取った。JOCから出る育成費は特Aですよ。しかし、もしオリンピック競技から外されると、Cマイナスになってしまう。五輪競技でなくなっても世界選手権があるからスズメの涙くらいの強化費は出るんです。しかし、そうなると一気にモチベーションは下がり、普及、強化に影響が出ることは必至です」
JOCから出る年間の強化費は、馳氏の言う「特A」で約5000万円、「C」にまで落ちると約700万~800万円と、天と地ほどの開きが生まれてしまうのだ。