お家騒動に身売り説。選手たちの奮闘をヨソに、グラウンド外でのキナ臭い話題がまたぞろ噴出している。そうした混乱に乗じて、球界のシステムを大きく変えようというプランが浮上。それがプロ野球人気回復の一手となりうるのだというが──。
ロッテホールディングスで続いていた経営権を巡る兄弟対立は、8月17日の臨時株主総会で、創業者・重光武雄会長(92)の次男で副会長の昭夫氏(60)が主導権を握ることでひとまず決着を見た。しかし、傘下の千葉ロッテでは、お家騒動の余波がいまだ収まっていないどころか、球界全体へと飛び火する可能性も出ているというのだ。スポーツ紙デスクが言う。
「今回の騒動では、長男・宏之氏(61)が退けられただけでなく、武雄会長の代表権も剥奪された。球界にとってはこちらのほうが重要です。球団オーナーも務める武雄氏の意向が弱まることで、球団を手放す動きが高まるかもしれません」
週刊アサヒ芸能は昨年9月、ロッテが住宅設備大手のリクシルとの間で身売り交渉に動いている、と報じた。事実、ここ数年、ロッテには水面下で複数の買収話が持ち込まれてきた。球団関係者によれば、
「その武雄氏がロッテホールディングスの名誉会長に祭り上げられ、今後は球団オーナー代行の昭夫氏が経営の中心となる。昭夫氏はかねてから、プロ野球球団の保有をイメージアップのため、そしてステイタスと考えていましたが、実は昭夫氏が引き続き保有し続る意欲があるかというと、そうとも限らないというのです。複数のスタッフに聞いても、今の段階では何とも言えないどころか、球団をやめて韓国の事業一本でいく可能性も出てきたのだ、と‥‥」
今年7月28日、本拠地QVCマリンフィールドの電光掲示板を、7億円をかけて改修することが発表された。特に不便がないにもかかわらず、球場の持ち主である千葉市がわざわざ費用負担するのはなぜなのか。球団関係者が続ける。
「市はロッテに残ってほしいからです。逆に言えば、ロッテが千葉を出て行く可能性を察知しているということでもあるでしょう」
ロッテが撤退する根拠として、3つが指摘されている。まずは球団の赤字体質。
「現在の年平均赤字額は27億円と聞いています。10年に西村徳文監督の下、リーグ3位から日本一に上り詰めた『下克上』の時ですら、20億円の赤字だったといいます。球団職員の給料は下がり、皆が不安を感じている。球場を運営する株式会社千葉マリンスタジアムのスタッフの給料も下がり続けています。このまま赤字をタレ流せば、いずれは手を引かざるをえないのではないか。職員はそうしたニオイを常に感じています」(前出・球団関係者)
2点目は昭夫氏のキャラクター。米国の名門・コロンビア大大学院を修了している昭夫氏は米国流の合理主義者であり、本来は「赤字球団は持つ意味がない」が持論だと言われている。