3つ目は買い手の存在。DeNAの成功例でプロ野球の価値が再評価され、球界参入に意欲を持つ企業は少なくないと言われる。その例がリクシルだ。10年オフ、横浜買収に乗り出して物議を醸したのは記憶に新しいが、その後もロッテに売却説が持ち上がるたび、名前があがってきた。
「とにかくリクシルは会社名を売りたくてしょうがない。そのために、プロ野球に進出しようと考えました」(リクシル社員)
ただ、同社は今年5月、傘下のドイツ企業で多額の債務超過が発覚。破産手続きのため約410億円の損害が生じたと言われ、球界参入に熱意を持ちながらも経済的なリスクは避けたいとの思惑もあるようだ。
「昨年のような活発な動きが見えなくなったのは事実です。というか、わからなくなった」(前出・リクシル社員)
この点について、スポーツ紙デスクは、意外な展開の可能性もあると指摘する。
「そもそもリクシルはロッテにこだわる必要はないんです。むしろ、楽天のような黒字球団を買いたいでしょうから」
とはいえ、球場の座席拡張などに経費をつぎ込み、しかも黒字経営の楽天が直ちに球団を手放すかといえば、現実的ではないだろう。
「いや、身売りがささやかれているのは中日、ヤクルトといった球団ですよ」
こうささやくのは、さる球界OBである。
「中日は落合政権時から、チームが勝っても観客数が伸びず、大赤字を量産し続けており、谷繁元信監督(44)に代わってからはさらに拍車がかかり、もう限界に来ているとの説もある。昨今、身売りの話が頻繁に浮上するのも無理はありません。ヤクルトは神宮球場が、隣接する秩父宮ラグビー場と場所が入れ替わる形での建て替えが決まっていますが、費用の負担を断ったそうです。だから、もう球団を売る気なのか、との憶測が飛んでいる。球団を保有して10年以上が経過していれば、手放した際には、プロ野球参入時に納めた供託金30億円が戻ってきますしね。ここにリクシルが食い込んできても不思議ではないでしょう」
さらには、本拠地球場へのアクセスの悪さから観客数減少に悩む西武にも、水面下での売却話があると言われている。