視聴率低迷でNHK大河ドラマのワースト記録更新がささやかれる「花燃ゆ」。三谷幸喜(54)が脚本を手がける次回作「真田丸」で巻き返しに期待したいところだが、公開中の三谷映画が大不評で、早くもケチがついた格好だ。
10月24日公開の「ギャラクシー街道」は三谷が脚本・監督を務めたSFコメディで、宇宙空間に浮かぶハンバーガー店を舞台に異星人たちが織り成す群像劇。主人公の店長を香取慎吾(38)が演じ、その妻に綾瀬はるか(30)、脇を大竹しのぶ(58)や西田敏行(68)らが固める豪華キャストが話題を集めたが‥‥。
「最低のアメリカ映画を決めるゴールデンラズベリー賞の日本版が存在すれば、間違いなく今年の最有力候補でしょう」
映画評論家の秋本鉄次氏がこうボヤくように、「Yahoo!映画」のレビュー欄は大荒れ。1700人以上の鑑賞者がつけた点数の平均は、星5つ満点で1.8と、三谷ブランドが泣く低評価。コメント欄をのぞくと、「これが映画か?」「時間と金を返せ」「駄作中の駄作」などと辛辣なダメ出しのオンパレード。
実際に都内の映画館で鑑賞したところ、祝日だったこともあって客席は9割が埋まる盛況ぶり。だが、本編が幕を開けてからは、場内はヒンヤリした空気に包まれた。
「緻密な伏線が張り巡らされた良質なエンターテインメントを期待していた三谷作品のファンは完全にシラけたでしょうね。ファミリー層が顔をしかめそうな下ネタの連発ですよ。綾瀬はるかと不倫関係になる遠藤憲一(54)が両性具有で、ボンデージ衣装で卵を産むなんてクスリとも笑えません。宇宙人のセックスが、ただ額を合わせるだけという設定など、随所に三谷さんらしくない中途半端な演出が見られました」(前出・秋本氏)
まったく笑いが起きず、大したオチもないまま110分の上映が終わると、客の大半が「どのくらい寝てた?」などと、鑑賞中の居眠りを話題にしていたのが印象的だった。
「公開2週目まで興行収入1位でしたが、製作のフジテレビと東宝のプッシュがあってこそ。フジの宣伝と東宝グループが持つ上映館の多さ、そして他の大作とバッティングしなかったのが大きい。しかし、作品の評価を見ると、今後の失速は目に見えています。興収40億円を突破した前作『清須会議』の半分にも届かないかもしれません」(配給会社関係者)
映画がスベって暗雲が漂うのが「真田丸」だ。三谷が大河ドラマの脚本を担当するのは04年の「新選組!」以来だが、NHK関係者がその苦い過去を振り返る。
「初回こそ26.3%と高視聴率をマークしたものの、幕末の日本人家庭の食卓にオムレツが出てくるなど、時代考証がメチャクチャだと批判を浴び下降線をたどっていった。終わってみれば、年間の平均視聴率は過去10年でワースト2位という記録的な大惨敗に終わりました」
今回は、主人公の真田幸村に視聴率男の堺雅人(42)を迎え、12年越しのリベンジといきたいところだが、脚本は早くも迷走気味だという。
「三谷さんらしいコメディの要素が満載です。幸村の兄で、関ヶ原の戦いでも名を残す信之を大泉洋(42)が演じているんですが、シナリオには恐妻の尻に敷かれるダメ亭主ぶりがおもしろおかしく描かれています。ただ、幸村を中心とする男臭い時代劇を期待していた視聴者は、実際の放送を見て困惑するかも‥‥」(前出・NHK関係者)
だが、制作サイドは鼻息が荒いという。
「伝説の武将が題材とあって、脚本にあまり左右されない合戦シーンには力を入れているそうですよ。自衛隊全面協力のもと、富士山東麓の演習場に、間口が100メートル以上ある巨大な城のセットを建てて、大坂の陣をこれまでにないスケールで描くとのことです」(前出・NHK関係者)
タイトルの「真田丸」とは大坂城を敵の猛攻から防ぐために幸村が築いた出城である。本作はNHKにとっても三谷にとっても、背水の陣となりそうだ。