芸能

天才テリー伊藤対談「草刈正雄」(1)三谷さんの台本を素直に演じました

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●ゲスト:草刈正雄(くさかり・まさお) 1952年、福岡県生まれ。17歳で上京、ファッションモデルとしてキャリアをスタート。70年に資生堂専属モデルとして「MG5」のCMに出演、一躍売れっ子モデルに。甘いルックスと軽快な語り口で人気を得る。その後、俳優へ転向、74年に「卑弥呼」で映画デビューし、75年にはエランドール賞・新人賞を受賞。以後、数多くの映画、テレビドラマ、舞台で活躍。映画「汚れた英雄」(82年)、テレビドラマ「華麗なる刑事」(77年)、「プロハンター」(81年)などのダンディな正統派二枚目キャラクターを経て、90年代以降は悪役、コミカルな役など、演技者としてのイメージを大きく広げており、今年のNHK大河ドラマ「真田丸」で演じた真田昌幸役は、その豪放なキャラクターとともに大きな人気と話題を呼ぶことに。現在、NHKBSプレミアム「美の壺」にナビゲーターとして出演中。

 大人気の大河ドラマ「真田丸」で、主人公である真田信繁の父・昌幸を演じ、好評を博した草刈正雄。9月末の放送で昌幸はついにその生涯を閉じたが、人気は収まるどころか、さらに「昌幸ロス」という言葉が出るほどの大騒ぎに。天才テリーも、その熱気にすっかりやられた!

テリー お久しぶりです。しばらくお会いしないうちにすごいことになっちゃいましたね、「真田丸」。

草刈 いえいえ、そんな。ありがとうございます。

テリー 今回演じられた真田昌幸、本当にすばらしかったですよ。まず、どんな形で今回のオファーがあったんですか?

草刈 撮影開始の前の年(14年)に、三谷(幸喜)さんと「君となら」という舞台を一緒にやらせてもらったんですよ。その時、三谷さんが僕の楽屋にいらして、「来年『真田丸』というのをやるんだけど、昌幸の役をやってくれないか」というお話があったんですね。

テリー へえー、直接のオファーだったんですね。

草刈 ええ、次の大河ドラマに関してはまったく何の情報も知らなかったものですから。真田一族の話、しかも昌幸役ということで、こんなにビックリしたことはないです。というのも、真田に関しては31年前に一度やっていますからね。

テリー 85年のNHK新大型時代劇「真田太平記」ですね。あの時の草刈さんは真田幸村役、つまり今回の堺雅人さんの立場で。

草刈 その時は親父の役、つまり昌幸役を丹波哲郎さんが演じられていたんですが、もうすごい存在感だったんですよ。お芝居も、おもしろかったですしね。

テリー 丹波さん、うまいですよね。でもセリフを覚えないことで有名ですから、現場は大変だったんじゃないですか?

草刈 ところがね、あの役に関してはセリフを完全に覚えていました。長ゼリフもしっかり入って。

テリー エーッ、丹波さんにしては珍しいですね。

草刈 それほど丹波さんは、昌幸役に入れあげていたんですよ。本当かどうかわからないですけど、直接(原作者の)池波正太郎さんに電話をして、「僕にやらせてくれ」とお願いしたという噂もあるんです。

テリー そんな丹波さんの姿を見て、さらに三谷さんからの直接オファーだと、気合いもかなり入ったんじゃないですか?

草刈 入りましたねェ。というのも、そのオファーの際、三谷さんから「丹波さん、超えましょうね」と言われましたから(笑)。

テリー ああ、やっぱり「真田太平記」の存在って大きいんだ。それは、かなりのプレッシャーですね。

草刈 ええ。やっぱり僕の中には「昌幸=丹波さん」のイメージが大きかったものだから、その時はどう演じればいいのか、すごく悩んだんですよ。でも、その後、三谷さんの台本を5~6話分まとめていただきまして、読んでみたところ、丹波さんの昌幸とは違ったイメージのキャラクターで書かれていたんですね。

テリー 確かにそうでしたね。

草刈 そして何より、三谷さんの台本が、とにかくおもしろいわけですよ。だから「今回の役作りは、どうしましたか?」みたいなことをよく聞かれるんですけど、実はほとんどやってないんです。三谷さんの台本から感じたことを、素直に淡々と演じれば絶対におもしろくなる。そして、僕を信じてくれた三谷さんを裏切らない。その一念で、ずっとやってきたんです。

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