代表選で激しい動きを見せた小沢氏の「狙い」はズバリ、
「復権ですよ。再度、総理大臣の座を狙っているというのは本当です」
こう断言するのは、前出の民主党幹部である。
「小沢氏は自民党町村派の幹部に、『最後はオレが(総理を)やらないと収まらない』と、真顔で話したと聞きました」
はたしてこの「野望」が、今回の代表選とどうリンクするのか。
だがその前に、小沢氏は前述したとおり、政治資金規正法違反で強制起訴され、10月には公判が始まる。刑事被告人という立場で、いったいどんな戦術を練っているのか、実に興味深いところである。前出・政治部デスクが説明する。
「同じく政治資金規正法違反容疑で逮捕、起訴された石川知裕被告(38)、大久保隆規被告(50)ら小沢氏の元秘書3人の裁判は8月22日に結審。3人とも、無罪を主張しています。裁判では、検察側の主張に沿う石川被告らの供述調書の証拠申請が却下されており、無罪か罰金刑で終わる公算も高い。つまり、秘書が政治資金収支報告書を書き間違えた単純ミスだということになれば、小沢氏自身の指示、関与も疑わしいものとなり、事実上の無罪と言っていい」
来春には小沢氏の裁判が終わるとされ、無罪放免なら政治活動に何ら支障はなくなる。そこで先の「野望」である。小沢氏が画策したのは、みずからの「傀儡」となりうる人物を総理に据えること。事実、
「小沢氏は『次の(民主党)代表は、政治経験が浅く、軽いやつほどいい』と言っているとされます。今回の新総理は、途中で下ろされた菅総理の引き継ぎで、任期満了する来年9月までの期間限定。その9月には、また代表選が行われる。そこで満を持して、総理候補として小沢氏が出馬するのです。それまでの間、裏から政権を操り、影響力を維持するためには、自分の思惑にかなう軽量級の人物がうってつけなんですよ」(前出・秘書)
さらに小沢氏は、そうした画策が首尾よく進まなかった時にも備えている。「実は小沢氏は鳩山氏に『いつでも新党を作る準備はできている』と話しているんです」
こう打ち明けるのは、民主党執行部関係者である。続けて説明してもらおう。
「そもそも党員資格停止などの処分で、『民主党がオレを完全に干すつもりなら、党を出る』と周囲に漏らしていました。総理になるためには新党結成なども含めた、さまざまな政界再編を仕掛けることも念頭に置いているのです」
別の民主党関係者は、こうも言うのだ。
「小沢事務所が複数の都市銀行に、数億円単位の融資の申し入れをしていると聞きました。もちろん、新党が必要になった時のためですよ」
傀儡画策に新党まで─。虎視眈々と復権を見据える剛腕は8月17日、都内ホテルで開催した政治資金パーティのスピーチで、はからずもその心境を吐露している。
「党の現状は見るに忍びない。自分が期待に応えられないのが残念だ」
この苦しい胸の内から出た「ホンネ」を受けて、小沢グループの議員は、こう漏らしたという。「来年9月の代表選で、(我々は)小沢総理誕生を望んでいる。今回の総理は、それまでのつなぎにすぎない」
まさしく小沢氏自身の野望にピタリと沿う、部下たちの証言。
結局、小沢氏は海江田氏支持を打ち出し、選挙に臨んだ。剛腕を発揮するのはこれからだ。
来るべき「Xデー」に向けて、極秘シナリオのページは今、静かにめくられたのである。
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